ピングドラム/神様ドォルズ/フェイト/ホライゾン/青の祓魔師/ファイ・ブレイン

輪るピングドラム・12話。毎度ながら先の読めない作品であり、毎度ながらすげえいろんな要素が登場してくる作品である。今回は主人公たちの親が起こした事件とリンゴさんとの関わり、そしてひまりさん…ペンギン姫さんの寿命が尽きる話。


まずは「95年の事件」であるが…ああ、これ地下鉄サリンそのまんまではないのね。その象徴性は流用されてるけども。子安声のお父んはごく普通の「よき父」に見えるのだが、その実大量殺人テロリストであった、と。どうやら何か胸に期す大義があってのことのようだが、それでリンゴさんの姉が亡くなったとあっては(今のところ)どうにも申し開きの立てようもない。さらに因果はめぐり、ひまりさんも「二度死ぬ」目に遭う…と。


寓話として語られるリンゴ(いや、お嬢さんの方でなくてね)が表すモノは何だろう。リンゴを得るために父は黒いウサギに唆され、大罪を犯し、結果その代償としてひまりさんを喪うに至る。島本女神言うに「だって、罰は理不尽なものだから」。おかげで今ショウマさんはただ錯乱し、カンバさんは何か…命に値するものを削っている。めんどくさいねえ。たぶん、一連の悲劇にはどこにも悪意など介在しなかったりするのかもしれないねえ。理不尽なことだ。…あの司書と黒いウサギはどうや知らんけども。


今回の石田さんはショタ演技。先週のワヤクチャ演技といい、おもしろそうなことばっかやらされてますねえ石田さん。さて次は悪役演技っすか? どうなんすか?


神様ドォルズ・最終話。各々の暴走の果て、コウシロウさんとか何とかのドタバタによって何とか事態は沈静化する。まひる様もキリオさんも何やら思いを抱えてふらふらと去ってゆき、ククリを動かせなくなったウタオさんは不安を覚えつつ夜を過ごす。そしてキョウヘイさんはアキさんと話し、ツンケンと争い、少し笑いあって一旦の休戦を得て…あっ終わっちゃった! 彼らの戦いがムラを救う(毀す)と信じて…! って二期とか続編とかいうテロップは? ねえ特報映像は? ないの?


てことでほとんど区切りにもならない状況でシメである。うーん、人気が出たら続編もってことですかねえ。かなりダメな構成だとは思うんだけど、でもまあ「そういうもの」と割り切ればは雰囲気悪くないな。ちょっと陳腐でかったるいなと感じたキョウヘイさんの回想イメージシーンをラッキースケベイヴェントでぶった切り、相変わらず理性の部分でまごまごしている彼にたいしキッチリとせっぷんイヴェントでカタをつける。うんそらそうよ、大学生なんだしそれくらいやれ。別にそっから先もやってエエけど、流石にそれはレーティングとジャンル変えんならんか。


しかしまあ…何だな、主題歌が「不完全燃焼」ってのはこういうのを見越した意図的なモノだったんかしらね。単なるネタにしてはちょっと平仄が合いすぎてますな。エエけど。


●総評。アッサリした絵柄で結構ドロッドロなお話もやる、なんか独特の雰囲気のある伝奇作品。軽くて明るい要素も多いんだけど、登場人物のほとんどがどっかユガんでる…それは一見典型的主人公青年に見えるキョウスケさんも例外ではない、っちうところがなんかすごい。今んとこその異形性からフリーなのはウタオちゃんとヒビノさんのヒロイン二人くらいですもんね。ヒビノさんは身体的に一部異形ですけどね! 何だあの過剰なちちは! まいいや!


とにかく圧巻はムラパートのジメジメぶり。あそこに出てくる人々はナチュラルに陰湿な人が多く、いやまあ器師のお嬢さんとかそうでない人もいるんだけど、あの辺の「日本の土着的なしっとり加減」はちょっと他のアニメでは出てこない風情ではある。メインはもちろん、アキさんとキョウスケさんの確執やら何やらのキッカケとなった「先生」の話なんだけど、それ以外もなあ。ワシ個人的に、キョウスケさんのお父んの小心者かつ高プライド、っちうペラい性格がツボじゃったわあ。話が進めばそれなりに背景も理由もあるのかもしれんが、あの妙にリアルなダメ父親ぶりはちょっといい。


原作がマンガでありアニメオリジナルじゃないってのは、各所のデザインで割とその傾向が見える。一番は各カカシのデザインやろね。木で作られ土着の神の名を持った形代っちうお題があって、企画会議とかでデザイン決定したらもっとおどろおどろしい、あるいは日本の工芸のラインの入ったデザインになってただろうなとか思ったり。実際、一番違和感あったのはそこですから。まあ慣れてしまえばどうということはないのだけれど。


てことで、全く一段落もつかずに終わってしまいましたが、どーかなー…何らかの形で続編が見られる可能性とかあるのかなあ。割と興味深いので、ゼヒ第2シーズンやって欲しいけれど…こればっかしはねえ。


●新番組・Fate/Zero。ジャンルでは大名跡のタイトルであり、ワシのような部外者でも二次創作とか派生作品とかで名前だけは知っている、というアレですな。つまりワシは名前くらいしかよう知らんのである。今回のZero自体もスピンオフ作品のようで。さて、とりあえず拝見であるが。


初回は1時間枠取ってじっくりと、これから誰が出てきて何をするのかのセッティングを語るという構成。魔術を使ったりする人たちが七組寄り集まり、各々歴史上のえらい人を召喚使役して殺しあいする…っちう認識でいいのかな。とにかく出てくる人どいつもこいつもすげえめんどくさいヤツばっかしであり、(悲惨な運命的に)先が思いやられることこの上ない。ワシそっち方面の知識は薄いけど、これ原作がこないだのまどかのウロブチさんなんですってね? これは…わはは、大変なのだろうなあと。うん。


制作はufotable。最近見ないなと思ったらTV作品はまなびストレート以来なのか。んでキャスティング、原作から引き続きってことで豪華…というより、TYPE-MOON作品に必ず出てくるらしい中田譲治のおっさんを筆頭に、「元アニメファンだった人がワクワクしながらキャスティングした」っちう感じのソレやよね。あと部分的にキャラにCG使ってた? ちょっと違和感あったけれども。


てことで、うーん、ちょっと見てみようか。


●新番組・境界線上のホライゾン。詳細は知らず、ラノベ作品とのみ。さて本編、装飾過剰気味な服装にやたら差別化の激しいキャラたち、と今となってはちょっとだけ古臭い雰囲気もある画面からスタートであるが…であるけれど…いきなりキャラ多いなオイ! そして設定と台詞とネタ多いな! 多分これはかなりの割合でワザとやってるゴチャゴチャ加減である。「先生を攻撃する試験」とまあこれだけの設定から、何をどうやってるか皆目判んないレベルにまで設定を詰め込んで大勢のキャラクタを暴れさせている。キャラクタはこんなもんじゃないようだし…うはあ、って感じ。


そういうものと認識して見れば、狂騒的で楽しい…ような気もするが、まだちょっと見てるこっち側がノリ切れてないのが辛いところ。エンディングの枠まるまる使ってジョージおっさんによる状況説明ナレーションが流れるのだが、これまた音で聞いててもちっとも頭に入ってこないワシは残念脳みそである。うーん、困ったものだ。


てことで判断はもうちょっとしてから…と言いたいが、この日の前後ってとにかくアニメ本数が多いんだよなあ…。原作の評判はいいらしいので困っているが、心折れ次第切ってしまいそうだ。すんませんねえ。


青の祓魔師・最終話。何というか、かなりテンプレなラストバトルとエピローグな話。ヴォーカル曲のかかるクライマックスもそうだし、一点集中でボス弱点をついたら全て解決というノリもそう。それが悪いワケではないが、…うーん、いろいろあとちょっと残念な雰囲気はぬぐえないなあ。よくできてはいるんですけどね。


各々のキャラクタ、特に塾生たちの活躍が弱くて無個性だったのも気にかかるところ。しかしこれは「兄弟の話にグッとしぼった」という文脈で語るならば悪くない選択肢ではあろうか。実際兄の剣を抜いて悪魔力を行使するユキオさんの絵面はなかなかよろしかったし。ただ、メフィストさんがあそこまで大感心するに至る程の理由は見えなかったけれど。あんたそれファウストの台詞言いたかっただけちゃうんですか、とかね。


●総評。悪魔人間ハーフの少年兄弟による悪魔アクション物語。狙いがすごくしっかりと判る、意地悪な見方すれば「ちょっとあざとすぎやしませんか」というジャンルの作品。流石日曜夕方でボンズだけあって画面の質はすんげえ高い…のですけどね。ちょっと個性が無さ過ぎテンプレ過ぎというか…ねえ。監督の資質はオーソドックスで手堅い演出なんだけど、それにしても手堅すぎる。どの部分も「そこそこ」って感じで取っ掛かりが少ない。何だろうな、これは出資者やら統括側やらのメタ的なレヴェルからの要請だったのかしら。


聞けば後半部分はアニメオリジナルとのこと。てことはハガレン(旧)と似たような事情のようですな。確かに、序盤で布石を打った諸々の要素と比べて後半部分はちとバランスが歪な印象があったりする。仕込んでおいて妙にアッサリとかたしちゃうとか、あるいは唐突だったりとかね。さらに根拠の薄い単なる噂だろうけれど、後半部分のアニメオリジナル展開と2クール枠の決定は実際の制作が始まってからだった、とか聞いたし。そんな条件下でアニメ2クールとしてよくまとめたなという感想もある。その辺はまあ。


映画化決定ってことで、ちゃんと支持は得られたコンテンツだったのだろう。だからこそ、もちょっとじっくり見てみたかったなとは思います。んー、そんなところか。多分映画は見る機会ないだろうなあ…。


●新番組・ファイ・ブレイン 神のパズル。よう知らんがサトジュン監督でサンライズ、とNHKらしくなさが気になって見てみましたが、ああこれは、見てみたら「…うん、NHK以外ではやりそうにないね」って感じのアニメでした。


設定はコロコロボンボンっぽい構造のアレでして、何か大枠構造があって全てがそれに従うような世界構築をしているタイプのソレである。ミニ四駆なりドッジなり、の代わりに「パズル」なワケだ。当然「いつの間にこんな大仕掛けを作ったのだよ」とか「こんなことやらかして対費用効果はどんなもんなのさ」とかを考えてはいけない。この世界はパズルとなればそういうものなのであろう。多分。…遊戯の王様マンガは最初のころはこんなんじゃなかったっけ? まいいや。


上でNHK的と書いたけど、何がってまず全体的にヤボったいのね。それから地味なのね。あとターゲット年齢層が低いのね。メーカタイアップも存在しないこういう作品、とてもじゃないが提供スポンサーがつくとは思えない。よってNHKやよねえ、と。


さて。こういうの、意外とじっくり見てたら面白くなってくることも多いんだけど…本数多いからなあこの曜日。保留。あー待った、ヒロインのおてんばお嬢さんのすげえしっかりした蹴り脚はとてもいいです。あれ、マジで体の芯に響きそうだ。よし。