ゴシック/シュタインズ・ゲート/C/あの花/ファイアボール

GOSICK・15話。錬金術リヴァイアサン編の終結錬金術師なぞありえぬという言葉にあてつけるが如く、その場にありえない大量の金でもって殺人を行ったリヴァイアサン。そしてそのトリック:目眩のする階段は垂直から僅かに傾いた設計によるものであり、その傾きが金の隠し部屋を可能にするのであった。というまあ、毎度ながらツッコミ所はいろいろあるが、とりあえずハウダニットもののミステリという構造は成しているな。いや、にしても「溶かした金を流し込む」っちう殺害方法はどうかと思うけどさ。


他にも事件に関わるわらべ歌とか、錬金術の知識のある者だけが死ぬシカケとか、一応ソレらしい道具立てもそろっているし、奴隷問題と世界大戦という結構デカい構造も見せてるし…ふむ、この作品としてはかなり「ミステリっぽい」道具立て/演出の回だったかなと思う。若き日のヴィクトリカのお父んによる「ホムンクルスの軍隊」っちう台詞が出てきたときは「ありゃ、ソッチ方面にも進みますか」と思ったが、どうやらそれの頓挫がヴィクトリカさんの出生に関わる…いわば彼女は一種のデザインドチャイルドである、っちうネタなのか。その辺のあれこれに大川透の魔術師さんが絡んでくるのでしょうかね。


てことで今回は割とマジメなお話。なので「ヴィクトリカさんのかわいさ描写」は背丈が足らなくて肝心のシーンでだっこしてもらってるとこ、くらいですかね。個人的にはこの作品にそれほどマジ要素は期待してないのだけれど、これから終盤にかけてこういう話が増えてくるのは否めないか。ふーむ。


Steins;Gate・5話。何とかかんとかでIBNパソを手に入れてSERNの謎データを読むことに成功するご一統。その内容は「ゼリーマン」のタイトルどおりなかなかにショッカーな代物であり、被験者の身体がゼリーのようなものに変化するという…ふうむ、ちょいとフィラデルフィアエクスペリメントっぽいテイストのネタですな。


今まで出てきたタームも今回のコレも、そしてブラックホールのカー解によるタイムトラベルも、なんちうかこのう…すまんね。「バカネタ好きのワシ」が「冷笑的ワシ」の比率をこの時点で越えてしまったよ。この5話がそれまでの話と質的に何か大きな変化があるとは思えないが、作品が盛り込み蓄積してきたそういうガジェットがとうとうワシの「閾値」を越えてしまったっちうか、ね。まァ要するに何だ、うん、許す。面白く見ることをワシに許す。この程度までバカネタを盛り込む覚悟のある作品だと認識したってことで許す。さあ好きにしなさい。


まあそんなどうでもいいワシの内面変化はともかく、ちうかちょっと上記の「蓄積された要素が閾値を越える」という描写と関連があるのだが、各キャラの描写もそこそこ重なってきて「あ、こいつら楽しそうだな」と感じる程度にこなれてきたことは重要である。そう、作品の傾向とジャンルがソレであるからには十中八九この「楽しさ」は失われ損壊を受けることが前提となるものである。失くしてしまったあの日々の記憶、取り戻せないあの人々。そういう感情を呼び起こすに足る「キャラのレイヤ」ができてきたなあという、そんな印象ですな。…他のアニメ感想に比してもとりわけワシ個人の要素が大きい文章になったが、まあいいや。そういうのもアリやろアリ。


●C・3話。失踪した自分の父が金融街に関わっていたと知ったキミマロさんは、その痕跡を探ってゆく。この地に入り浸っていた父、カネに対して妄執のような感情を抱いていた父。ダメなヤツだと切って捨てるキミマロさんに対し、ミクニさんは異を唱える。カネが目的ではない、自分のためでもない、…君のお父さんは君たち家族ためにここにいたのだ。その上でミクニさんは、ただ平凡に貯金するだけというキミマロさん自身についてはどうだろうと言う。カネは他者のために使ったほうが幸せなのではないか。少なくとも君のお父さんは、自分だけの幸せを望むような人ではなかっただろう…というね。


経済を回せばみんなが幸せ、タンス貯金の何が幸せなものか、っちう哲学ですな。そらまあそのリクツに一理も二理もあろうけれど、それは後付け理屈でもあるよな。まずは金持ちにならないと他者も幸せに出来ない、てことで初っ端のモチベーションはテメエの幸せたる蓄財でも構わんでしょうし。まァその辺りの主義主張はこれからズイズイ出てくるだろうし、今はまあこんなもんで。


今回はクール美人のジェニファーさんからの視点で語られるお話。組織がどうの秘密がこうのとなんか下手な陰謀小説みたいな台詞群だったが、彼女の属している「組織」ってのがIMFでしたと判るラストは予想外でしたぜ。IMFが顕然隠然の巨大な権力を持った背景組織として出てくる作品って結構珍しいのと違うやろか。まァ経済をテーマとした作品ならそれもアリっちゃアリなのかもしれんが…いや、マジであんな怖そうな組織なん? 実名出して怒られたりしない? 大丈夫?


あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。・3話。メンマさんのお願い探しは続く。ガッコに行くことがその「お願い」なんじゃねーかなってんで重い腰上げるジンタンであるが、夏の気温やら人々の鬱陶しさやら…そんな現実、「暑さ」に早々に屈してしまう。このままいじけておしまいかしらと思ってたが、その現実的暑苦しさの権化みたいなポッポさんによって「メンマのお願い探索会」が開催されるのでした…というね。


ムダに行動力があってちょっと空気読めないポッポさんは、こういう時の話の転がし役として便利だな。多分正しい道へ一直線とはいかないのだろうけれど、まァ…放浪癖のある彼にとっては回り道やムダなんてのは友人みたいなものだろうし、気にしないやね。んで結局ポッポさんの「会」に懐かしの面々が全員やってくるワケで。


問題はジンタン以外の男連中にも見えたというメンマさんの話。さて一体いかなることにや。ユキアツさんが見たってのはまだよう判らんが、ポッポさんの見た「メンマ」はあれ、お母んと違うかな。なんか娘の思い出の場所探してたとか。ま、それはおいおい。


今回のテーマの一つは「叱ってほしかった」という言葉。ジンタンはお父んに、なるこさんはつるこさんに対してそう感じている。「叱られたい」ってのは自分の中の歪みを自覚しつつも、その解決を無意識に他者に求めているということだ。それは意志の弱さというより、他者と関わりたい、繋がりたいという意識の現われなのだろう。さて、ジンタンたちはちゃんと叱ってもらえるようになるのだろうか。そしてそのときメンマはどうなるのだろうか。ってね。まいいや。


ファイアボール チャーミング・5話。ティーザー映像で出てきてた気になるキャラ、1話に出てきてそのまんまになってたぬののふく。いやアレと同じものかはまだ定かではないが、とりあえず人類がやっとこ本格登場か! と思ったら高度なシミュレータ…なんだかヘンテコ大喜利マスィーンなのかよう判らないまま、毎度の如く物語は混沌のまま終わってしまいました。うーむ、何だか気持ちよい。


しょーもなくて勝利条件がちっとも判らない「テーブルマナー諺編」を聞いてるだけで割と楽しいのだが、テーブルマナーとか人類との関わりを心に抱いているお嬢様とか、妙にドキドキする要素をチョイチョイ置きに来てんのが気になります。これでさいっごまでスカしっぱなしだったら本当に感心するけどね。…あと何だ、今期のお嬢様は動きがいちいちあざとくてエエな。ただ歩いているだけの動きでも変なメリハリ付いてて面白い。ぜひ立体的玩具を。