ゴシック/フラクタル/放浪息子

GOSICK・4話。新アーク開始、と同時に殺人犯として逮捕されちゃう一弥さん。テンポ早ッ! 当然これは話の導入としての小エピソードであり、本題はまた別なのですがね。初っ端の事件の背景や人物についてほとんど語られないまま終わっちゃったのは、その後の「本題」な事件に通底する何かがあるからだろうが…とりあえずはパツキン娘のアヴリルさんが登場、っちうことで。


冒頭のバイク殺人、本題の納骨堂の死体、双方あからさまに怪しい人物として関ってくるアヴリルさん。てことはまあ、真実はまた別のところにあるんでしょうけどね。あるいはフーダニット的な要素はそのままで、ホワイダニットを主焦点にドラマを構築してゆくのかもしれないけれど。その辺は次回以降か。


今回のヴィクトリカさんは二事件ともに安楽椅子状態での推理業務。…初見の印象だとこういうパターンが基本だろうと思ってたんだけど、実際はいきなり客船密室ミステリで安楽椅子から遠く離れちゃったからなあ。ま、ずうっと安楽椅子探偵ではハデな物語を作りづらいからしょうがないっちゃそうでしょうけどね。


フラクタル・3話。ネッサとクレインは三バカ悪人に捕らえられて彼らの本拠地に連れてこられる。そこはフラクタルシステムから開放されたコミュニティ。地に生き空の元で自然と暮らす…なんかアーミッシュみたいの? よう判らんが。しかし単なる牧歌的集団ではなく、その目的としてフラクタルシステムの破壊というか全人類よ我々と同じであれというか、そんなゲリラ活動もしているのである。そしてクレインたちは彼ら…ロストミレニアムの血腥い、ゲリラとしての面を見る、というね。


それまで少々すっとぼけた雰囲気で描かれてきた三バカたちを、ごろごろと死体の転がるような活動に投入させて落差を狙う、っちうのは(少々あざと過ぎるような気はするが)語り口のメリハリとしてはまあ効果的ではなかろうか。最後にデータ的存在らしきネッサの「本体」っぽい人をを登場させてヒキとするのもね。落差というよりは、ちょっと分裂気味に見えんこともないが…まあその辺はワシの個人的嗜好か。しかしフラクタル世界では同一の人格/主体がコピーやアバターとして複数存在しても可、なんだっけ。まあその、あのリアルネッサさんはこっちのネッサさんとはかなり性格が違うようだけどさ。


ネット依存者と排斥者とどっちがどう、ってのはこのお話の根幹命題っぽいので今んとこは特にアレコレ無いが、前回の(ドッペル)ネッサさんの物体干渉能力を見るだに、やっぱこの世界まるごとデータであるっちう可能性は捨てきれんよなあ。そうなるとロスミレの人々たちの活動もかなり空しいトコがあるが…ま、それは推測の域だ。とりあえずあの巨大飛行機械はワシもワクワクします。やはり宮崎っぽいけどね。


放浪息子・3話。「ブラ付けてこい」言われたよしのさんがぶっ倒れたり修一さんが姉のクラスメイトに女装見られたり、とまあ何だかなーなイヴェントをこなしつつ、メインのお話は文化祭のお芝居脚本である。女性が男性を、男性が女性を演じる…ははあ、そういう趣向の劇を「倒錯劇」っちうんですか。作品のテーマや現在の状況にあまりにもパラレルなギミックではあるが、これによって皆にどのような変化が発生するのかは確かに面白そう。


そんなジェンダーネタを「ブラ」に象徴させてるのが上手いというか何というか。女の子(よしの)が男の子(修一)に向かって「ブラつけたい人?」と訊く、っちうシーケンスのインパクトはなかなかである。こう書くとバカギャグみたいだけど(いやちょっとそういうケもある)、鏡の前でスポブラ付けた自分を見て複雑な感情を抱くよしのさんとか、紙袋の仕込みも相俟ってエエシーンになってたよなあ。ラストのネタが「ブラ線」なのも…うん、ねえ。若いってエエなあ。ってそんな話じゃないけど。


一緒に脚本書こうと修一さんを誘うさおりさんの「ヘンなことしないから」がそのまんま男女逆転なセリフで可笑しい。んでもってその「ヘンなこと」が修一さんを女装させることなのがまた可笑しい。ついでにいつもの性格と違ってやたらめったらノリノリなさおりんも可笑しい。もう何かよう判らんわお前ら! 好いたようにしなさい。