ナイトレイド

閃光のナイトレイド・最終話。タカチホさん、志半ばにして斃れるの巻。信念に基づいて行動を推し進めるも、その心の揺らぎを妹に看破されてしまうタカチホ兄さんである。預言者を後ろに控えての「何が正しい道かは誰にも判らない」という言葉は皮肉でもあるわな。ラストのアオイさんとカズラさんの奮闘は、いずれ再登場するであろう核兵器を一時的に排除する、という空しくもある戦いなのだけれど、そういう「不確定性」があればこそここまで必死になれるのだろう。


最終局面での桜井さんの胡散臭い立ち回りぶりが定番でよかったな。大林さんのキャラがよう合ってますわ。「汚れ仕事ばかりだよ」ですわよね。しかし記憶をトバされてあんな状態で帰っちゃって、多分桜井さんは軍部での地位を棒に振っちゃうだろうなあ。


死にゆくナツメさんの最後の気遣いとか、やっぱし生きてたフーランと写真のシコミとか、いろいろ盛り込んであったんだけど、ちょっと盛り込み具合がせせこましかったかな、っちう気はする。贅沢言えば切迫したサスペンス状況終了で一旦切り、もう一話分確保してゆったりしんみりとエピローグ…ってのがベストなんだけどね。そうも行きませんわな。


●総評。1930年代の大陸を舞台に超能力持ちのエージェントが跋扈する、というなかなか魅力的な、しかしアニメとしてはいろいろとめんどくさそうな設定のお話。エキゾチックな風俗と超能力の喰い合わせがオツで、雰囲気としてはアメリカとかの連続ドラマみたいなオットナーっぽさがあったように思う。


でもねえ、折角のこの設定だしねえ、もっといろんな活躍話を見てみたかったな、っちう物足りなさはあるんだよな。1クールという尺の制約上しょうがないところもあるんだけど、キャラ紹介とちょっとした活動描写が終ったな、と思ったらもうタカチホお兄さんのクライマックスシーケンスに入っちゃったもんねえ。ちょいとシリアスな超能力野郎S(サクライ)チーム、みたいな連続活劇も見てみたかったところだ。


全体としては、中途で少々息切れ気味なところもあったけれど、おおむね丁寧に作られていたと思います。ただまあ、ちょっと生真面目過ぎたかなーってな印象はあるかな。登場人物の国籍に合わせて違う言葉喋らせたりね。こういうのはホンマ、ガチガチに突き詰めないと「ああ、頑張ってるんだな」という意識が先に立って素直な物語への没入を阻害しかねないからなあ。まあそこら辺は重箱隅ですね。


てことで、うーん。頑張ってんだけどちょこちょこ惜しいところのある作品だった、ってな感じかなあ。アニメで再現するには難しいジャンルだったってのもあるでしょうしね。楽しかったのは充分楽しかったです、ハイ。