ラストエグザイル/未来日記/UN-GO/ギルティクラウン

ラストエグザイル-銀翼のファム-・5話。売り言葉で買ってしまった敵艦15隻捕獲の目標に、まあクヨクヨしてもしょっがないよね、ってことでガッツリ取組み始めるファムとジゼのお二人である。あんましモノを考えないし普段の危機感は薄いし、というファムさんのキャラクタは典型的な「バカ少年主人公」のそれである。その上で性別を女性として主要メンツ三人の性別がそろえることで、この中における恋愛的なサブエピソードの発生を切ってるワケやろね。語るべきお話のスレッドを絞る、という…いやまあ、のちのち百合百合んするっちうのもアリやとは思いますけどね!?


さて。バタバタと行動を進めてゆくファムとジゼに引け目を感じるミリア姫様である。自分にできることは何だろう、ともがいてバカなことやりつつ、最終的にはカタチだけの「領土」を船内にて得るに至る…と。こういう初めの一歩的なエピソードはエエよな。シリーズのシメと呼応させてくれたらもっとよろしい。感慨深くさせてくれたらワシ大喜びである。実際、ファムの「みんな集まってくる」人間だというミリア評は多分正しいものとなるのだろう。未熟な姫様が為政者として民を導くに値する器を得るに至るまでの物語…と、なるだろうか。


寡黙なメシ頭のおっさんが一言喋ればそれは中田譲治声、というギミックは割とやられてしまった。ジョージかよ! と突っ込んじゃいましたからねワシ。てらそま声の技師頭といい、シヴいおっさんがちょこちょこ出てきてくれてワシ嬉しい。蓮爾さんっておっさんも好きだもんね。


未来日記・6話。アバン早々とっても手馴れた風情でユッキーんちに不法侵入するユノさんの絵、から開始。表情がまったくもって通常なのがとても怖い。その後もユッキーのお母ん相手にフッツーにラブラブ恋人な振る舞いを続けるユノさんがかなり怖い。夜中目を覚まして「お母さんがいい人でよかった。道具を使わずに済んだ」と剣呑なこと言い出したときは、却って安心したりして。うんいつものユノさんだね、とか。


そんなご一統んところに転がり込んできたのは、先の新興宗教施設大量殺人事件のあおりで孤児となった男の子・レイくんである。狙いとしては「ただのお子さんかと思ったら実は悪質な未来日記プレイヤ」という展開であり、実際違和感を感じさせるようなレイアウト・色彩設計・アングルをちょっとずつ差し込んでくるという演出も上手くいってるのだけれど、いかんせん…この作品の重要キャラってデザインがすげえキャッチーである、っちう共通点があるのよね。だからぱっと見ィで「あ、こいつ何かやらかしよんな」と思っちゃうのだ。別に大したキズでもないしエエんだけど、何かこう…ベタな推理ドラマ見てて岩下志麻出てきたから犯人こいっちゃー! みたいな。何言ってるか自分でもよう判らん。まいいや。


ユッキーのちょいと進歩的過ぎるお母んに水原薫。こういう「男のコをからかうお姉さん(いやお母さんだけど)」も上手い人ですな。…見た感じアケスケでアケッピロゲなくらいで至って普通の女性ですけど、この作品のことだからなー…ヘンなウラ性格とかなきゃエエけどなー。なんかもう、いちいち疑り深くなっちまってますよ。うん。


UN-GO・5話。肉弾三勇士みたいなお話にかこつけて演説を行う憂国のおっさんと、何故か銅像から出てきた死体のお話。殺人の動機や手段などのドラマは実は後景…というより、今回は敗戦探偵新十郎本人のありかたがメインテーマであり、そのための道具立てと言った方がエエやろな。シリーズ当初よりどうも弱点の多いお兄さんというイメージを描写されてきた彼だけど、今回はまた「過去の苦い経験から来る思い込みによって推理を間違う」という、妙に俗っぽく人間臭いミスをやらかしてしまう。解決までの展開の迷走ぶりは、そのまま新十郎さんの心内のモヤモヤしたものの具現したものでもあるのだろうな。


今までもそういうケはあったのだけれど、今回はまた特にツメコミ具合がきつかったなという印象。オーソドックスな展開に必要とされる描写や説明を可能な限り切り詰めてんなあ、苦労してんなあ、とか。もう少し背景や人物描写を盛り込めば1時間モノでもイケそうな具合ではあった。これに関しては、ちょっとせせこましかったな。


…などとまあ、通り一遍の感想が割と吹き飛んじゃうネタ的要素が多くてねー! まず何ですかカザモリのあの衣装、言動行動は。「喜んでもらえると思って」の前にキッチリ「性的に」の一節が感じられますよね…やっぱし。わざわざパンダぬいぐるみに入って毒舌吐いたりケツふったり、それらが基本的にデッドパンな声と顔で提示されるもんだから面白くてなあ。おいしいなカザモリさん!


そして当然あの銅像ね! 何で軽トラやねん! 肉弾三勇士という生臭い元ネタからかけ離れたあの即物的なお姿には目眩を感じた。誰かツッコめよ! 第一運転してる一人はともかく、他の二人はただの無駄死にだよね? 誰かツッコめよ! あと最近免許も無いのに軽自動車がマイブームでいろいろ検索してるワシですが、あれはスズキのキャリィ(最近の型)ですね! 流石国内トラック生産数第一位! やった!


ギルティクラウン・5話。多少のモヤモヤを残しつつテロ組織に加わるシュウさん。みなの前に連れて行かれ、今後はコイツが「作戦の中核」になると紹介される。作戦の中核という言い方がなかなかにめんどくさいわよね。一人前の人扱いされるかどうか定かじゃないし、その上ポッと出の馬の骨がなんやねんってな反感も買いそうだし。


とはいえシュウさんはシュウさんでめんどくさい人ではある。あっちこっちで一言多い言動を繰り返してはボコられる、というまあ…当初の設定紹介どおり対人関係能力はカラッキシのご様子。要するにプチ痛い人であって見てるコッチまでなんかもうわあああって感じで恥ずかしくなっちまうですよ。そういうイタさ書かせたら上手い作品ではあるなあ。これ、どっちの資質だろう。吉野? 大河内? …どっちも得意か、そういうの。


ダメダメな訓練ののち「お前の力を見せてみろ」イヴェントの開始。ヘタレ主人公が手練れの一群に挑むという、この種の通過儀式テンプレ展開は主人公の/作品の傾向を見る上でよい判断基準になる。特に理も無く主人公だから勝ってしまうのか、意外な手段もてなんとか勝利するのか、あるいは万策企てても甲斐なく負けちゃうのか。さてこのケースはいかに、と見れば彼のヴォイド能力で逆転勝利、である。


確かに本人の言うとおり「ズル」と言えんこたないが、作品内での立ち位置を明確にしつつその能力も見せる、ということで良い落としどころだなあと思ったり。事前にヴォイドの話を振ってシコミを作っといたのも違和感なくてよし。相変わらずガイ兄さんのカリスマ性については(シュウさんの感想はともかく)ワシも疑問符が付くのだが、その辺もおいおい描写されるだろ。ま、そこらへんは次回以降。