中二病/新世界より

●新番組・中二病でも恋がしたい!。詳細は知らず、ラノベ原作の京アニ作品ですか。アバンにて大塚芳忠による中二病レクチャーからスタート。この人もなんつーか、ワンポイントでの豪華イロモノ的起用役が板についてきた感じがするですな。とまれ本編、主人公は中二病を患った後に恢復したというお兄さんである。何とか過去の陰と澱から脱却しようとしている矢先、現在進行形の中二病ゴス眼帯娘さんに目ェ付けられてもうてコマッタナー、というようなお話。

主人公のユウタさんはフツーの青年になりたい/もうなったと言うけれど、ラノベ主役っぽいモノローグの多さ(と、キメ台詞がとってもお似合いの福山潤ボイス)のおかげであんましそんな感じはいたさない。あと高校新生活初日に軽い性格で女子ひょーろん家の悪友(ダメ押しに保志総一朗声)が配置されるってのもなかなかのファンタジィではある。まあこの辺は作品としての構造上しょうがないところであって特段の欠点でもなかろうけれどもね。

そんなセッティングの後に繰り広げられるアニメの質は、流石に京アニだけあって抜群の安定感。ちょい前のアニメやラノベの定番ネタである中二病をメタとして取り扱う、という少々ヒネったその作品構造は、言い方はヘンだけど「王道の変化球」って感じだ。その辺の独自性を抜いたらかなり素直な学園日常生活譚ですよね。…これ、今のような癖のないキャラデザじゃなく、ゴリッゴリのリアル系とかフラット系とかのデザインだったら別種の面白さがあったんと違うやろか。メタ要素のギャップも稼げるし。ウケは悪くなるだろうけど。うん。

てことで、あんまし目新しさは感じられないが視聴しやすくてよろしい。このあと「中二病なキャラの巻き起こす泣き笑いラブコメ」でも「実はマジで中二病的冒険世界でした」でもどっちでもイケるわな。興味が持つ限りもちょっと様子見てみよう。…どうでもいいが途中出てきた中二病アイテム二種、アンティキティラの機械とアカンバロの恐竜土偶(だよね?)のチョイスも実に「らしい」なと思ったよ。適度にニッチかつ変にマニアック過ぎず、でね。

●新番組・新世界より。詳細は知らず、ドヴォルザークのアレが元ネタの一つなんだろうなと思ったら開始早々BGMとしてかかってたのが判りやすくて良し。えーとなるほど…現代世界で生まれた超能力者っぽい存在が社会の動乱を招いてエライこっちゃになって、その後いきなり千年の時間が飛んでのさる田舎学校についてのお話、ですか。各人が割と普通に超能力的なものを使えており、風俗や風景が多少異質な以外はそれほど今と変わらないように見える時代。しかしそこここに管理社会や強制的人間選別など、ちょいとキナ臭い要素が垣間見える。ノリとしては何でしょうね、一見平和なこの世界の謎とか真実とかがあらわになってゆくとか、そんな感じのお話になるのだろうか。

原作は小説とのことだが、確かに何というか、初っ端にテンプレを駆使して導入の容易さを図る、的な構造が薄いのは割とそれっぽいかなと思った。よってツカミは薄めなんだけど、それでも先々の展開に対する興味は充分に示されているので問題はないかな。ちょっと引っかかったのはキャラデザインで、話の内容に比して結構マンガチックでファンシーとも言えそうな雰囲気な感じなのよね。展開が進むにつれて慣れてきたり、あるいは「あ、このデザインなりゃこそだな」と思えるようになるか。まあそこまで違和感のあるものでもないけれど。

途中のイメージシーンが突出して特異な「作画アニメ」になってて面白かった。スタッフロール見たらわざわざ「悪鬼の話」というタイトルで別立てして山下清悟の名前が。なんかすげえ扱いだな! あと長老みたいなじいさん役の大木民夫が健勝そうで良かった。検索したら84歳ですってさ。生涯ここまで演技仕事できるってのは幸せなことですよねえ。

えー、てことで、まだ雰囲気を掴みきれないところはあるけれど、ちょっと興味深そうだ。様子を見てみよう。