バイセコーは楽し

●大学の裏手を通って住宅地を抜けると、小高い丘のてっぺんを通る道に出る。チマチマと盛り上がった山並みの緑色以外の平地を埋めつくす、住宅やら商業地やらの白っぽい世界を一望にできる。ワタシがここを通るのは、前後に余裕のある休日に大学に寄って後輩に遊んでもらい、その後古本屋に行ってお宝を漁る、という状況である。


視覚なり聴覚なり、感覚的な記憶情報に感情が乗っかってくるとそれは一気に忘れがたく瑞々しいものとなる。ワタシにとって灯油の匂いは実家の台所にある古いストーブの記憶であるし、ダライアスIIのゲームミュージックは初めて一人暮らしした頃(他にCDが無かったから)アホほど聞き倒した大学の日々の記憶である。


そしてここしばらくのパターンにより、あの丘の道からの眺望は「ああ、開放的な休日だなあ」という印象と不可分な記憶となりつつある。自転車に乗ってふうふう言いつつ登る坂道、ぱあっと開ける遠くの町並み。本日のようによく晴れて風の気持ちよい日なら、なおさらだ。


●…実際は部室に誰も居れへんかったし、古本屋での戦果もゼロだったんやけどね! エエねん、ジデンシャ乗って走ってるだけで、心も体もサワヤカやねん! ボクらは!