人は自分の口の中に凶器を抱えている

●今ちょっと気分が悪い。病気とかじゃなくて、トラウマスイッチが入っているのであります。


体洗ってたら勢い余って自分の顔面にパンチしてしまった。かなりのクリーンヒットでちょっとクラッとする。打った瞬間に「あっ」と思って調べてみたら案の定、口の中が切れている。その切った場所がトラウマ個所であり、シャワー浴びながら割と戦慄してたり、ああ。


(以下、所謂「痛い話」をするので耐性の無い方は読まないこと推奨)


●ワタシの下唇近辺には傷がある。若き日のインディ・ジョーンズが鞭で傷を負ったあの辺り。ではワタシは何によって傷がついたかというと、自分の歯である。何ゆえ口の外の部分がテメエの歯によって傷つけられたのか? 実はあながち「口の外」ってワケではないのでして…という話。


小学校の帰り道にバカな遊びをしていた。ワタシが目を瞑って歩き、弟がナビゲートする、というもの。ところが弟が友人と話しこんでいたのに気づかなかったんだな。「こっち? こっちでエエの?」とか言いつつ、ワタシは側溝に頭から落っこっちゃったのだ。慌てて側溝から上がり、とりあえず帰宅せねばと歩き出す。興奮してるので痛みは薄いものの、息をふうふうと吹くたびに路面にばだばだばだと大量の血が落ちる。これはひょっとしてヤバいのではないかと思いつつ帰宅、洗面所の鏡を見たら顔の下半分とシャツの前面が真っ赤っ赤。ここに至って恐怖感の絶頂、うわああああ。


側溝に落下した際に向かいのコンクリ壁でアゴを強打し、その時見事に切っちゃったらしい。つまりまあ、コンクリ壁をまな板としたら口の下のあたりの肉が食材、下あごの前歯が包丁。インパクトの瞬間、下の前歯が肉を突き破ってサックリ貫通しちゃったんですな。その時下唇をつまんで持ち上げてたら、多分傷の奥から口の中が見えてたはずだ。


医者にてさっそく縫ってもらう。このときの医者と看護婦の会話がまた恐い。「これ、手順踏まずに処置してるけどエエんかな」「いいでしょ多分、上のほうには黙っとけば」「そうだな、多分大丈夫だよね」…あのね、そういう会話はアチシに聞こえないようにやっていただきたい。


その時は「ああ、これで我がご面相も異形のものとなりしか」と絶望したものだけど、治ったら案外目立たなくなったのでホッとした事であった。しかししばらくの間はガーゼや包帯でぐるぐる巻、隙間からスプーンで流動食を喰う生活だったので残念。またワイヤが入ってるんで、金属のスプーンが口中に入るたびに電気っぽい不快感が発生して困ったものでした。


●…という、まさにその傷んところをざく切りしちゃったのよね。傷跡が残っているので何度かその出っ張りを噛んだりしたことはあるが、ここまでザックリやっちゃったのは初めてに近い。そらもう昔を思い出してゾクゾクヘナヘナ、歯の根が合わないようなイヤーな感じ。まァ口中の傷は治りが早いし、落ち着いて考えれば大事無いんだろうけど…でもなんかヤな気分でございます。ああもう。