エウレカセブン/蟲師

エウレカセブン43話。なんか知らんがとにかく「約束の地」へと来た二人(と三人)。さて、どんな事件が起こりますやら、というと何も起こらない。ただただ気ィの悪いこと言い合いして、二人のキャラの株が下がるのみ。なんだこの展開。


いやね、隔絶された極限環境下での不協和音…ってのはよくある主題だと思うんですよ? でも終盤も終盤、ここにきてやるもんかね、普通。ほな、今まで感動的に積み上げてきた情感はチャラかいや、と思うよなあ。この先どういう展開があるのか知らんが、どうにも勢いを殺ぐ構成にしたもんだ。


…大体このすっ飛ばした展開に及んでさえ、主役に「何していいか判らない」という方向性を付与するってのがヘンだと思うン。それが製作側の主題だとしても、あんなけドンパチして人死にが出た行為の根本が「で、何すんのワシら?」って、どんな人やねんキミらは。感情移入し辛いなあ。


並列して語られるアネモネ/ドミニク話。意図してることだろうが、こっちは判りやすい。「あたしに縋らないで」ってのは良い台詞だな。…え? デューイの過去? すんません、割と気にしてないです。うん、勝手にどんどん展開していただきたい。


持ってきた「地球概論」という教科書、著者の松橋歳雄って誰だ? と思って検索したら、どうやらエウレカ世界内における金枝篇の訳者みたい。フレイザー研究から地球物理まで。手広いなオイ。監修の笠原宗紀(か?)は判らず。…いずれ何かのアナグラムかね?


蟲師16話。ゆっくりと記憶をなくしてゆく母。事物にかぎらず、「くしゃみ」などの体性感覚に関わる事も忘れてゆく。…これだけ聞けば悲壮感のある話のようだが、主役の母がそのう、すんげえドジ萌え母さんなので妙にぽんやりした手触りになっている。元来の天然ボケ気質とよく合った蟲症状ではあるなあ。


「使わない記憶から蟲に喰われてゆく」ということで、そんじゃま新たな記憶をどんどん仕入れよう、という療法はなるほどなあと思った。そして外回り中で家に居ない夫の事を気遣い、陰膳(居ない人の分のお膳)をしつらえる母。それは、喪失していく日々を保つための拠り所でもあろうか。しかし…。


倒れる事によって発生した大喪失。多分それは、意識的か無意識か判らんが、彼女が意図したことだったのだろうなあ。新たな「自分」を得た彼女は、それでも陰膳を用意する。「こうすると安心するのよね。何故だったかしら」。…うむー、相変らず広いスペクトルを持った作品である。


(一年というスパンがあるにもかかわらず)時期を桜の季節に設定したのが効いてまんな。あの駘蕩とした風景には、いかにも記憶を喰う蟲の一つでも出てきそうな非現実さがある。今迄にもまして説話・拾遺話っぽい雰囲気の回でしたな。


子と母に岡村明美天野由梨レジェンズコンビ。なるほどの息の合い方。