山藤章二かあ…

山藤章二死去とのこと。

世間的には似顔絵か風刺画の大家というところだろう。…朝日新聞で長いことニュースに出てくる主要人物の似顔絵描いてたのをまとめた「山藤章二の顔事典」って本があるんですが、昔っから超絶絵が上手かったという印象があったんだけどこれがまた、筆が慣れてくるにつれてもんのすごく描線がこなれてくるというか、この本が出版された95年くらいになるともう筆の太い細い、入り抜きがあまりにも洗練されてておっそろしいくらいの似顔絵になってる。こういう線で絵を描きたいと思う絵描きはごまんと居るだろうが、しかし世の中に唯一この人だけなんだよな、という焦げ付くような嫉妬を感じるような本ではある。

けど、自分にとってはやはり筒井康隆の著作における挿画がまず一番に来るんだよね。あのギザギザの前髪たらした抽象的な顔よ。ともあれ、わが青春より在った世界を称揚しつつ、また哀悼の意を。…あと、ヒントでピントに出てた。