ダンジョン飯/怪異と乙女と神隠し/ザ・ファブル

ダンジョン飯・21話。まずは地上組、カブルーとシュローに対峙する西方よりのエルフたち。いろんな意味ですっげえ強キャラオーラをダダ漏れさせてるの、やっぱ描写が上手いな。カブルーの出自を知ると急に親しげになる辺りも、エルフの一種の閉鎖性が出てる。…このダンジョンを制圧すると言う彼らに主導権を渡してはならないと必死のパッチで「説得」スキルを駆使するカブルーの辺り、理詰めの空中戦展開がある意味すごく主人公っぽくて、彼がライオスと表裏一体の立ち位置であるって感じがするなあ。

とまあ地上でマジ話してる一方で主人公組はのほほんと…まあ、したりしなかったり。この迷宮に呪いとともにバインドされた黄金郷と、今まで何度も出てきた「悪霊」について。なるほど、魔物の性質を抑えておとなしくさせるという魔法のおかげで、イヅツミがただのねこになっちゃってるワケね。ライオスに撫でられかけて「いや!」つってんのさえかわいい。ライオスはショックでしょうけども。まあミノタウロスちくび見られただけで良しとしなさい。

たしかに黄金郷は一種のユートピアではあるが、千年ここに縛り付けられているとなればそりゃいびつではあるよな。その不自然さを相殺する為に、必要性もない食事や農作業を続けていた…というセンシの推測もなかなか物悲しい。ライオスはヤアドたち住民の期待に応えるべきか否か。はるか遠くの地上でカブルーは否定的に見るが…どうだろうね。

あーあと、地上出てきて冒険終わり! ってとこで、ちまちまとシュローの身づくろいするマイヅルと意に介さないシュローのシーン、なんかカリオストロの伯爵とジョドー思い出した。こういう細かい描写いいねえ。…マイヅルさんがジョドーに似てるってワケじゃなくて。うん。

●怪異と乙女と神隠し・7話。アバンにシズクさんの過去回想、ネグレクトによる辛い少女時代。この経験が「ドアを開けてはいけない」という怪異の対処法とコンフリクトするってのは上手い。友をもう救えないと聞かされた直後に、オトちゃんが代わりに駄々こねたことで冷静になったことが自己犠牲的選択に繋がった、ってのも皮肉ではある。まあどのみち同じことにはなっていただろうが、それでもね。

建物内に入ろうとする怪異ってことで、ドアからエレベータから窓から打撃音や手形の跡が発生するってのは定番ながらコワいねえ。返答した者に取り付く、雨の日に出没する、殺された者が次の怪異になり替わる…とまあ、定番設定が後付けで盛り盛りになってどうしようもなくなってるの、先週も言うたけど情報の流れが速い当代の怪異だなって感じ。その根っこがトイレの花子さんにまで至る、ってのはマジネタなんかな。
化野兄妹の出自と行動原理について、ついでに開示される。彼らは異界よりの者であり、元の地に帰る為の代価としてこの世界の怪異を「支払って」いると。それでもその異界人とやらがそもそも何なんだってのは残りますけどね。あとなんかねこっぽい人出た。猫の王というキャスト名で…斎藤千和か! こういうキャラは得意分野だろうけど個人的には久しぶりだな! と思ってフィルモグラフィ見たら現在も大活躍、シゴト途切れん人だなあ。すごいや。

ザ・ファブル・7話。ある種のバランサーでもあった海老原のカシラが倒れてしまう。重石が除かれたとなればあとはもうねえ、って感じで小島が動き出す話。小島のいかにも「暴力的組織中で最適化した」って感じの、下っ端がいちいち地雷踏まないようにビビるシーンがなかなかしんどくて、かつこのキャラと他の関係性を端的に示している。これはまだアニメ/マンガという抽象性のあるフィルタかましてるからこの程度で済んでるけど、実写のドラマや映画、あるいはマジ状況でコレだったら見ててたまらんだろな。

そっからあとはお定まり、ムショ帰りの武闘派がヤクザの文法で王道を進むというアレ。小島自身にそういう自覚があり、かつ修羅場も乗り越えてきた風情なのがタフな雰囲気ではある。にしても津田健次郎の作りに作ったヤクザ演技がまた、この大時代な雰囲気に合うわな。コワモテ演技をせんどやっといての破滅演技も楽しみにしておこう。

一方のアキラさんサイドはまだ活性化前って感じか。小島との短い邂逅で、お互いの危険度はある程度図りあったとは見えましたがね。現実世界では一貫してノンシャランで超然としたボケ気味なアキラさんが、ことテレビでジャッカル富岡見てる時だけはすんげえバカっぽい反応してんのが…何だろうね、この人の人間性のわずかな発露というかね。それがジャッカルでいいのかってとこはあるんですけども。クロさんがくっついて来たがってんのはどう転ぶかなあ。足手まといとかにならなきゃいいが。