平家物語/ルパン三世

平家物語・9話。重盛が身罷り、清盛が斃れたあとはどうにも平家の心柱となるような者が居ない。一応の頭領は宗盛だけど愚鈍の者としての描かれ方から出てないし、となると資盛がこっちの軸となるべきなんだろうが…どうもその、その役柄を苦労して演じている、ように見えて痛々しくもある。京からどんどんと落ちてゆく彼ら平家の道行は、そのまま平家没落の軌跡。…ではあるけれども、やっぱダイジェストだわなあ。清経の入水に義仲の戦死に一ノ谷の逆落としに敦盛の討死、と一気に進んだ。大河ならこの2倍の尺は欲しかったとこでしょうねえ。…いきなり湧いて出た義経と弁慶梶裕貴大塚明夫でなんかすげえ。せめてインパクトを出しとかんと、ってとこだろうな。

敦盛のシーケンスは流石に後世に伝えられる名場面だけあって、波の表現もライティングも色彩設計もガッチガチに気合が乗ってて美しいにも程がある。作画もともかく色の表現が精妙な本作だけど、この海の色はとてもいいな。あと合戦の時の横一列で上がって下がって迫ってくる矢ぶすまの絵もなんか良かったっす。

「見ることしかできぬ」というびわは、母と会うたことで一つの思いを得る。見て、聞いて、それを琵琶に乗せて語り、謳い、祈る。その時に見たヴィジュアルが経盛・重盛・父の居る風景なのはともかく、清盛も居てんのが面白い。直接的な家族の関わりはそれほど無かったと思うんだけど、祈る上ではやっぱ外せない軸ではあるのだね。

ルパン三世・21話。人魚伝説の小さな漁村にて妄想が妄想を呼ぶ話。まあ妄想の方向性ってのが若いお嬢さんのラブラブ系であり、虚実皮膜のあわいみたいなアレじゃないので割とアレ。全体的にルパン話としてはちょっとコメントに困る回だけど、脚本の篠塚智子って人は16話…五右衛門がファンションモデルやる回の人なのね。妙な話書く人ではあるなあ。あとムリヤリというか何というか、即興芝居に付き合わされる(妄想内でもリアルでも)次元と五右衛門というテイで、似合わない演技してる中の人がなんか面白かった。こういうのはやってる方は楽しいだろうね。