メガロボクス/ゴジラS.P/ダイナゼノン/バック・アロウ

メガロボクス2・11話。最終戦を前に状況の整理・セッティング。ジョー側は過去・及び仲間と向き合った上でユーリを迎え、現状できる範囲内での問題解決に至る、が脳内に抱えた爆弾と、そもそも既にロートルであるという事情は残る。マックの方がちょいと深刻で、そりゃ素で戦えば多分ジョーを圧倒するんだろうけれども…彼の復活劇そのものに内在する歪みが、自信と周囲を毀損し続けている。サクマさんがなかなか理想的なワル要素で、多分最後に破滅すんだろなあというとこまで含めて「物語の擾乱要素」として優秀だなあ。…1期から見てると、ユーリと握手してるジョーの絵がとても感慨深い。もし、力石があのあとも生きていたなら、ジョーとこういう関係になれただろうか。どうだろうか。

ゴジラS.P・12話。破局は近くあり、そしてそのコアはゴジラ。オオタキの面々はジェットジャガーもてゴジラに向かう。そこに最終のコード、すべての答え、未来がある。爆発的に分岐する未来のマップはあれ、カオス理論でよく見たロジスティック写像のカオスの分岐図みたいだね。複雑性による計算爆発、カオスによるカタストロフでしょうか。…実際にゴジラの場所に向かったとして、ユンさんたちに何ができるんだろうと考えると…ここはやはりジェットジャガーの巨大化しかないのでは!?

ゴジラ近辺では空間が歪み、三角形の内角の和が180度を下回る…空間が負の曲率になってるらしい。実際に行って体験してみたいなあ。あとその辺にある物質にブロブとかグレイグーとか名前を付ける科学者連中はシャレがきついと思った。

●SSSS.DYNAZENON・最終話。瀕死のガウマさんは体に鞭打って、皆さんはそれぞれの思いもて最後の敵に向かう。ボロッボロの状況でナイトくんの苦戦に介入し「余計な世話をしに来たんだよ」のセリフがかっこいい。それに続く、これまでの戦いを遡るような在庫総ざらえのバトルも美しく、最終回が最終回たるバルクに十分である。その後の各人のエピローグもね…ヨモギさんがガウマさんオマージュの扮装してんのがよろしい。

このまま総評にいきますけど、上記のように1クール作品の最終話としてサービスとカタルシスに遺漏のないフィナーレにはなってんだけど、主に怪獣優性思想サイドで明らかに欠落した要素があってその辺が結構モヤモヤする。彼らの重大な経験は断片的な情報で何となく雰囲気は感じられるんだけど詳細は判らず、おかげで彼ら個々人のあんまし憎めないキャラクタとやってることのとんでもなさに違和感が残るのよね。まあ次クールの続編で完全完結ということではあるんでしょうけど、それでもね。

ガウマさん個人にもそういうあからさまな伏線はもろもろあるけど、この人は見た目と性格のギャップなどでえらくキャラが立ってんのもあって、存在感はごっつありましたからなあ。ラストカットの描写見るになんかかんか復活してくれるんじゃないかという期待もあります。

とまあいろいろ言うたけど、この作品単体に限ってもとてもエエ感じにまとまった青春ロボ怪獣アニメでなんか見てて痒くてよろしかったです。不穏な要素ありつつも結局どいつもこいつもエエ性格した好漢好女で、フツーにがんばれーっつって応援しちゃうようなそんな作品だったですよ(巨大ロボ/怪獣モノとしてとても大事)。続編はほぼ確実にあるだろうけれども、楽しみにしておこう。うん。

●バック・アロウ・最終話。お話の表現型は「神に挑む市井の者たちが神と和合する」というものであり、そのメインフレームは実際のところ「恒星間航行船の最後の生き残り嬰児をケアするAIプログラムが、あるシンギュラリティの末に生命維持以上の概念:母星への帰還方法という概念と選択肢を得る」とかそういうことになりましょうか。思った以上に「凱帝はガン」ってのが喩えとして外れてなかったなあ。とまあそんなスジに乗っけて、お約束と王道と「こういう展開が見たいんでしょ?」のつるべ打ちは外さずにやってくれるのがこの作品ではある。ワル姫と若凱帝が仮初に再登場したタイミングが完璧。素晴らしいねえ。

総評。谷口監督とかずき脚本の相性の良さというか悪乗りの効果というか、無茶な勢いで話を喰い散らかしてゆく様子を楽しむ作品であったと思う。バジェット的にはそこまで大きくないのかちょいちょい画面的な息切れがあったり、例えばトリガーのような唯一無二性からはちょいと離れたところにある、言ってしまえば割とよくあるセンスのプロダクションデザインだったりと、そこここに惜しいとこが散見される作品ではあったけれど…ううん、俺このアニメ好きだなあ。AOTYなんてなトコには多分無縁だろうけど、個人的に折に触れて思い出すような。その欠点まで含めて、いろいろ話甲斐のあるような。そんなアニメではあった。実際のところ商業的に成功したかはアヤシイと思うしね。

やろうと思えばこっから更にレイヤを上げた続編も作れるような終わり方をしているけど、どうだろうね。難しいだろうな。仮に続編があるとしたらゼヒ見たいとは思います。無論この制作陣そのまんまでね。いやしかし、谷口監督は折に触れてこういうアニメを作ってくれるのでホント有難い。願わくばこの先も左様でありますように。てことで、楽しかったです。