フランキス/魔法使いの嫁

ダーリン・イン・ザ・フランキス・10話。支配者の賢人たちから「あいつら先祖がえりみたいな原始精神してるからごほうびあげたら喜ぶやろ」ってんで実に形式的な褒章式を挙行されるご一統。単純に喜んでる中で当然ゼロツーさんは鉄板みたいな表情してんのだが、まあそれはいろいろあるのだろうしね。てことで、今回は一番喜びすぎてるゾロメさんのポエム担当回。

「都市」の中で必然的に迷い道してうろうろしてるゾロメに、そこの「大人」が声をかける。いささかの文化的ギャップはあるものの、基本的に親切な人であったこの女性に対して「もし俺が大人になったら家族…いや、友達に…」と申し出るゾロメを、軽い態度で一笑する。その台詞は視聴者には聞こえない。が、まあ、想像はつく…。多分彼女の優しさは、人というよりはペットに対してのそれだ。そして、彼我の間には絶対的な不連続がある。

ここで能天気で精神的にもガキくさいゾロメがこれを経験する、ってのがバランスなんだろうな。多分彼にとってもかなりショックなことだったのだろうが、しかし土台部分のいささか雑ともいえる開放性のおかげでそこまで深い傷跡は見えない。ただし、今のところは、だ。のちのちずるりと膿んだ傷が見えてくる可能性もあるけどねえ。…あと、全体的には優しい雰囲気の物語進行において、ひとっきわ異質感をもたらしてた「幸福を摂取するパートナー」の絵はあれ、しあわせの理由じゃよね。そしてこのキャラに井上喜久子を持ってくるってのは(17歳ネタは置いといても)しょっぱな年齢不詳の女性、という点において上手いなあと思った。昔で言うなら池田昌子だろうかねえ。

魔法使いの嫁・23話。カルタフィルスの記憶と存在を追っかけるチセさんの一方、エリアスさんはまた一人で暴走したりしてこの人はホンマにパワーのある弱虫だなあ。ってとこにティターニアとオベロンが手を差し伸べ…差し伸べてるのかなこれ。人の理からはかなり外れた「助け」を提示する彼らにちゃんと「いや僕はもっと人間らしくやりたい」と言うエリアスはやっとココロの片鱗を見せたりする。妖精王は単純に便利な神さまではない、一見エエ人に見えても根っこで人とは異なる存在ですよってのをしっかり見せる、そういうテイストはかなり好みではある。

んでチセさんサイドですが…あれ、カルタフィルスとヨセフって別人の融合体なのか。検索するとこの二者はそれぞれ別の挿話から来たものという解釈もあるようで、なるほどそっから広げた設定なのかもしれん。とまれ、「人としての」呪いを負ったものならば、ひょっとして灰の目の方が純粋に異質な存在なのかも知れんですね。背景を語られると弱くなるの法則ですな。あと魔女のマリエルさんが出てくる辺り、霧の街路にてマリエルさんが化身した牛に乗っておっかけっこする…というシュールな絵は、夢の中というか寓話的なつかみどころの無さがなんか目を引いた。ちょっと違和感もあるけどね。

ラスト近しってことでチョイ役的にオールスターの顔見世っぽい描写はいいサービスであった。ねこたちまで出てきてたけど、流石に本編にはからませにくいわよね。