●少女終末旅行・10話。ケッテンクラートごと電車に乗って終点まで旅をする二人。この世界のテクノロジーとデザイン傾向らしく、非常に愛想のないまっ四角な電車だけど、連結方式とか見るにかなり先進的でもある。ここで毎度のユーさんによるプリミティブなテツガク話っぽいのをやったあと、アキラみたいな斜坑リフトで(いささか乱暴に)階層表面に出て、音楽と夕日の「波長」に涙したりもする。
この階層には大きな穴があいてて、その様相を見るに時間的にも階層があるように思える。兵器や武器はすべて穴の中心を向いているように見えるけど、一体何と戦ってたんでしょうね。…T-34とアハトアハトが見えるけど、まさかWWIIの頃の施設とは思えんしなあ。ケッテンクラートといい、ロストテクノロジーの担い手たちは懐古趣味でもあったんだろうか。
そして彼女たちに加わる更なるキャラクタ。それは猫…ねこ? これねこか? いや「ぬこ」ってことらしいけど、白いソーセージみたいな外見で何となく御神体石像みたいで、花澤声でラジオ通してしゃべるという…。危なくない? まあないんだろうなこの作品だし。ともあれ、どこまで一緒に居られるやら。次回いきなりお別れしそうでねえ。
●キノの旅・10話。タイトルは「優しい国」、前評判は最悪だったのにいざ入国してみれば誰も彼もみな心から歓待してくれる…という、もう誰がどう見ても「この快適さは仕込みですよー」ってな状況なのでずっと身構えてたら、ちょっと別方向にドンデンを反されてほほう、と思った。よく考えるまでもなくいろいろと無理のある筋立てなんだけど、最後のサクラさんの挿話まで割とキッチリ構築されててまとまっている感じ。
ここでキノさんは「森の人」という名の銃を得る。あとで調べてみたらこれ、師匠の相棒の人が使ってた銃なのね。てことはあの、一見気難しそうでその実ノリノリな山路和弘声のガンスミスが相棒の人の後半生なのかしら。どうやらこの国はそれまでずーっとイケズなことばっかしてきたらしいけど、なんでまた相棒さんはそんな国に腰を落ち着けてたんだろうかしらね。身内には優しい国だったんか?
●宝石の国・10話。ボルツさんは強くなったフォスがどうにももどかしいようで、お前ワシんとこついて鍛えなおせやとか言うのである。フォスとしてはボルツのなんか怖い性格もさりながら、ダイヤ兄ちゃんがどう思うかなあ…ってので気が重い。一応言うてみたけど案の定ダイヤ兄ちゃん性格が重い。フォスさんは手足が重い。そういう話。
フォスさん性格変わったと本編でも言及あるが、どこか調子のいい「フォスらしさ」はちゃんと持ってるのが面白いバランス。ボルツに対して「前ほど怖かねーぞ! うそですかんがえさせてください」とか、ああいう台詞がつと口をつくってのはフォスさんだよね。
後半の新型月人とダイヤとのバトルがこの話の白眉で、すっげえ長回しのカットでじっくり恐怖感をあおり、カメラ位置もいちいち効果的に動いてて、これまずアナログ手描きではほぼムリな演出である上にカットとして成立させるためのプランニングも大変だろうなと思った。恐怖映画的な見せ方がすごく上手いねえ。
●魔法使いの嫁・10話。セルキーに連れられチセさんは独りで…いや使い魔のルツと二人で、ドラゴンマスターのリンデルさんとこに向かう。彼女専用の杖作ったりリンデルからエリアスの昔話聞かされたりしたりしてるあいだ、エリアスさんはどうにも心もとなくウチでぼうっとしている。チセさんを見送ったあと、庭でたたずんでいるエリアスをうちの中のシルキーさん視線で捉えたカットがなかなかさみしげでよろしい。
とりあえず、エリアスさんはその出自があまり明らかでないらしい。それでも魔法使いたちはあまり気にせず、彼に名を与えリンデルの知己(という体裁の弟子)として処遇する。そういうものなのなんだろうね、リンデルの師匠であるラハブにとっては。…どうでもいいけどラハブって海の魔物としてしか知らんかったんで「すげえ名前してんな」と思ったけど、世間的には聖書に出てくる娼婦/女主人の方がメジャーだったのね。ゲーム脳はこれだから。
色黒姉さん師匠のラハブに三石琴乃。こういう落ち着いた役多くなってきたのでいいことだと思います。