うしおととら

うしおととら・最終話。お前の目は下層から見上げるヤツのそれだととらさんに喝破され、逆切れして暴れ回る白面の人。この辺りの絵・演技ともに、藤田イズム溢れる濃厚さがあって見応え聞き応えありました。最後の突進をかますうしおにしてもそう、最近じゃあんまり見られない濃い作画が印象的。なんか80年代っぽい。

いつもどおりもりだくさんではあるけれど、ちゃんと余韻もあるシメかたになってて長い話の帰結としては悪くない。因縁の蔵の前、万感の思いを込めて振り返り先に進むうしおさんの表情変化が良い。こういうディテイルは外さんね。あと何だ、最終決戦で味方キャラ面々の中にしれっと海座頭が居てんのがなんかおかしかった。じいさんそんなキャラだっけ?

●総評。少年マンガの金字塔と言うても過言ではない、熱い勢いのお話をアニメ化した、そういうアレ。もう何度繰り返したか判らんし、そして言うても詮無いことだとは判っているが、でも無視することもできんしなあ。…つまりは致命的なレベルで尺が足りん。エピソードを取捨選択してお出しするってのはアニメ初見の人に対する方策としては妥当だし、ワシも残念だとは思うがしょうがないとこだけど、残ったエピソードでのアニメ構成も傷なしとちょっと言いがたい。とにかく急ぎ足であるのが感じられちゃうんだよね。余韻や余裕がないのがなんとも辛くてね。

それでもラストシーケンスを含めた後半は、ここにこそ描きたいことがあるってんで練られた構成になってんですけれども。実際盛り上がりも演出も演技も、もろもろひっくるめて熱量高かったからなあ。いや、返す返すも惜しい作品だと思う。

上で演技といいましたが、ヴェテラン多めのキャスティングはそのベタなとこも含めてこの王道話によく合ってたと思う。見てる時は佐々木望が出てきた時の「おお、新旧うしおそろい踏みか」ってのは気づいたけど、若本VS浪川はヒョウ対決ってのは言われるまで気付かなかった。これこそファンサービスの極みですのにねえ。ワイもとろいことで。

てことで、楽しめたけれどいたしかゆしだったなあ、これ作ってる側も歯噛みするところあるだろうなあ、とそんな印象のアニメでした。うーむ、ねえ。