弱虫ペダル/蟲師/レコンギスタ/四月は君の嘘

弱虫ペダル GRANDE ROAD・2話。最後のクランクを抜けてラストスパートに向かう、ってなシーケンスでご一席。総北と箱学、その親玉二人が敵同士でイチャイチャチョネチョネしてる所で京伏の御堂筋クンが「やってられまへんわボケ」と切って捨て去るという構図ですな。いやマジで金城と福富、いったい何回お互いの名前を呼び合ってんのさあ。対比して御堂筋が「友情ゴッコやってるお前らは弱いんじゃ」とぶっちぎってくのを見ても「いやあヤツは強いなあ…ようし負けないぞ、お前にもな金城!」「そうとも福富!」ってホンマお互い同士しか目に入らないお人たちやねえ。エエけどさ。

御堂筋さんは一人頑張っているのですが(いや石垣とか水田とかサポートはありますけどね)、街道の観客に「キモい」と言われ「そんな外見にこだわってるのは意味が無い」と言い捨てているのがちょっと印象的。基本この人、自分がキモいのに他者をキモいと言うているってな不整合が面白いんだけど、ここにきて「キモい」ってのはどうでもいいと過去の自己表現を否定するに至ってんのよね。まァこの作品、この作者のことだしあんまり深い意味は無いのかも知れんが、それでも御堂筋クンのちょっとした進化というか純化を感じ取れる台詞だったなとか思いました。

それを踏まえて、ものすげえキモく強化し続ける御堂筋クンが見所でんなあ。よだれ拭きなさいよだれ。しかし彼の進化/キモ化はまだまだ先があるってのが恐ろしいところではあります。キモい。

●なんか蟲師の特別編やってて、しらんうちに録画してたので前後編まとめて見る。禁種の蟲を追う薬袋一族の男、魂無き男クマドとギンコ。あと久々に淡幽おじょーさまの登場が嬉しい特別編。全編にわたってどこか息苦しい、情景もお話も闇がみっしりと詰まっているような雰囲気の話でして、それだけにラストシーケンスのすうっと開けた光とちょいとコミカル気味な会話・表情が良い「抜け」になっている、蟲師の味わいってこうやんなあってな感じのお話ですわな。つーかここまでギンコさんがガチ危機やらかして助けてもらうってのは割と珍しいかもしれない。

息苦しいと言いましたが、その最たるものはクマドの幼少時やよね。ジジイと相対して会話してる庵の辺り、二人の姿を画面片方に寄せてもう片方の何も無い小さな部屋を見せるとか、二人会話してるのにジジイの陰に隠れてクマドが全く見えないとか、色彩設計に加えてじっくりがっちりとレイアウトで閉塞感を見せる演出が極まっている。ちょっとホラー気味でもあるよね。

じいちゃん役の北川米彦が素晴らしくジジイ声で得がたい雰囲気。83歳の大ベテランですなあ。京田尚子もアラエイ(アラウンドエイティ)であんなけの声だし、ぜひともご健勝であっていただきたい。

ガンダム Gのレコンギスタ・4話。いろいろ、というよりかなりゆきで姫さんの海賊だかアメリアだかの食客っぽくなったベルリさん。しかしその身柄移動はキャピタルアーミーに格好の「口実」を与えてしまうこととなる。それに乗っかってデレンセン教官殿が部隊率いてやってくるのだが、これまた諸々あってベルリさんはそれに対抗しなきゃなんない。そしてGセルフはどうもブラックボックスの多い機体のようであり…っちうね。

小規模ながら結構実の詰まったロボバトルになってて、見てて割とワクワクすることでした。よく動くし、またそのアクションもどこか今様なロボアニメのミームと少々異なってて、懐かしいというか新鮮というか。それに富野な台詞回しまで乗っかってくるので何というかもう、味付け濃いよなあ。妙な没入感があるアニメではある。

今回も意地でも繋げさせない、お互いの意志を通し合いたいようなかみ合わぬ会話シーケンスが続出で楽しい。艦長とベルリと姫様のシーンとか、三者三様のベクトルが錯綜してて思わず笑ってしまう。んでもってラライヤさんはなんだか妙に声が低いな! クリム兄さんにやたらと喰え喰えつってパンみたいなのすすめてたのはあれ、腹減ってイライラしてると思ってたのかしらん。

四月は君の嘘・2話。公生さんは久々にクラシックの雰囲気に触れる。やはりあまりいい印象は無いようで、その気の重そうな様子がいかにもトラウマ抱えた風情で少々痛々しくもあるけれど、でもイザ演奏が始まってみればむしり取った衣笠、いろいろと考えることもある。そんな中出てきたかをりさんの演奏は、ひときわヴィヴィッドでひときわ独創的で、彼の心には大きな波が立ち始め…っちうね。

いやあ、1話の段階でもその兆候はあったけど、これはまた結構ガッツリとしてポエムアニメだな! それまで少々ネガティブな心理状態だった公生さんがギア入ったとたん、延々と繰り延べられる幻想的な心象台詞にちょっと圧倒されてしまった。…これ一応少年マンガ原作やよね? なんかちょっと前の少女マンガっぽい雰囲気を感じてしまった。

そして今回の話のキモとなる、かをりさんの演奏は確かにスゴイ。というか、効果音やらエフェクトやら色々演出のやりようもあるアニメという作品で、そこそこ純粋に演奏(と演奏作画)でワシのようなトーシロに「あ、こらすごいや」と思わせるだけの個性をぶつけてくるという、その出来上がりにはちょっと感心した。これは誰のお手柄でしょうね…演奏者? 演出家? 監督? 音響監督? とにかく、こういうフィクション作品で成立させにくい「芸術成果物の超越性」をちゃんとクリアしているって点だけでもかなり高評価をもちゃげざるを得ない。てェしたもんだよ、実際。…今にして気付いたが、これって結構大変なアニメ作品だな。手間ひまとセンスのコスト高いぞこれ。

あともう一つ、テーマが音楽だからだろうけど、演奏以外の音も丁寧に構築されたアニメやね。演奏会でのざわつきや音楽室の風の音など、画面が一段奥まったように思える環境音の深さは流石だなと思った。うん、あとポエム。これは今後も頻出すんだろなあ。