犬とハサミ/Free!

●新番組・犬とハサミは使いようビブリオマニアっぽくもあった時代からはるか経ってしまい、今はめっきり読書量も落っこちてしまったワシだけど、本がからむ話となるとやっぱし期待してしまう。さてこの作品、本読まないと死んじゃう櫻井声の兄ちゃんが殺人事件に遭うも何故かお犬様に転生し、ハサミ使いの「人の心は無いんですか」っぽいお嬢さんとアレコレする話である。本への執着やうざってェ長台詞など、犬兄さん…カズトさんのキャラは個人的になかなかおもろいとは思うんだけど…。

ううん、あまりピンと来ない1話だった。全体的に演出が鈍くて平坦っぽいのはまあともかく、各々のキャラ設定もイマイチ乗ってけない、というか数ある類型とテンプレを組み合わせてできました、ってな印象が強くてちょっとなあ。これから先印象が変わるとは思うんだけど、まずもう一人の主人公であるハサミお嬢さんのキャラがハードル高い。目先の殺人を一顧だにしないという執筆バカ過ぎる設定はまだしも、あの暴力性は辛いものがある。ペットショップでハサミ使って店長を脅して犬持ってってそのまんまとか(流石に代金は払っただろうけど)、それは…どうなんだろう。またドSの発揮相手が「犬」なのが絵的にとてもキツい。中身人間だとはいえ見た目動物虐待やしなあ。ううむ…。

のっけから結構な箇所で躓いちゃったけど、さてどうしたものやら。作品の質としてはそんなに悪くないと思うんだけど…。

●新番組・Free!京アニ最新作は水泳部の兄ちゃんたちの青春ドラマ、という情報から真っ直ぐストレートに思いつくそのまんまのお話であり、それを京アニの驚異的な作画・演出能力でお料理したらこうなった、というね。ううむ…これは! なんかすげえ! 乙女ゲー的に作られた各キャラの「狙ってます」加減にいささかの迷いも衒いもなく、剛速球で叩きつけられるあざとい少年たちのお姿。主役の黒髪さんはブッキラに見えて水泳となると目が輝いちゃう上に、料理上手で裸(水着)エプロンが常態というありさま。うわあ、すげえや。

どうなんだろう…ワシはそこまでイケメン兄さんラブジャンルに詳しくないんだけど、ここまでガッツリとサーヴィスされたキャラ/作品に対しては「ごくライトな層は戸惑い、そこそこのライト層は歓声を上げ、ディープな層は冷めた視線を送り、一周回ったド深層はええよーええよーとニコニコする」…ってな勝手な印象がワシの中から出てきた。実に何にも裏づけの無い感想なので無視してください。

さて。それにしても上記の通り、相変わらずのハイクォリティではある。水の描写に青年の絞った筋肉ってのはどっちもどっちも、真正面から描くとなるとかなりハードルの高いネタですよな。考えてみればエフェクトに筋肉、双方ともワシの好きなジャンルであった。そういう意味においてこの1話はすさまじくサーヴィス度合いが高く、水かきわける作画見てはおおと言い、面倒な動きを苦も無く動かす筋肉作画にああと言い、うん…まあ、そんな感じ。あとパツキンノッポの兄ちゃんが(幼馴染キャラの定番として)朝起こしに来るシーン、この人のガタイが充分にデカくてかつ引き締まってますよ、という情報を一連の日常描写だけで如実に見せるあの構成力に感心した。お婆ちゃん(千々松幸子さんは確かけいおん!でも出てたっけ)との対比、ロングショットでの肩幅と頭身、鴨居や玄関などの建造物との適切なバランス。このキャラのアイレベル位置にカメラ据えて奥から手前に移動してくるカットは背景がちゃんと「あ、高い位置から見てるな」ってレイアウトになっており、おかげでパッと見ィで兄ちゃんのヒョロデカさ(と、そんな長い手足を自在に動かすカラダの若さ)が雰囲気として出ている。書き出せばすごく当たり前でどうってことないんだけど、こういうのをレイアウト・コンテ・作画でソツなく提示できるってのはやっぱし手腕だと思うよ。

ええと…何だっけ。まあスジの内容はいいや。んで次回以降見るかってェと…うううむ、ワシの趣味嗜好とは盛大に離れてるからなあ(いやキンニク描くのも見るのも好きだけど)。えー、うん、一旦保留。