たまこまーけっと/新世界より

たまこまーけっと・3話。クールビューティーっぽい雰囲気のアサギリさんが、意を決してやっと「ありがとう、すごくすごく、楽しかった!」と言えるようになるまでのお話。今回の主役/根幹部分だけあって、アサギリさんを中心とした構造になっているお話である。お風呂帰りのシーン、メガネをかけた洗い髪のたまちゃんとアサギリさんが妙にソックリなのは偶然ではあるまい。彼女たち二人は対置されている。今までは対称ではなかったけどね。アサギリさん側がたまちゃんと並び立ちたいともがいて動いて、これからやっと対等なお話を交わしていこうね、って所だ。

…話をしようと思ったら相手がいない、ってな所でモチ不味いさんとも対置されちゃってたりするけど、まあいいや。それにしてもこのモチ鳥、便利な立ち位置ではある。人ならざる人っぽいモノだからこそ、アサギリさんも彼に対しては結構キビシいこと言えるんだろうかな。モチ鳥さんは誇りに思っていいよ。ある程度までは。ある程度ね。

二度目にモチ鳥さんを助け、桜の花びらが散る川沿いを歩くアサギリさんのシーンが良い。立ち止まるタイミングもいいし、彼女が意を決してモチ鳥さんに話そうとする辺りもいい。「たまこさんに謝意を伝えてほしい」と言われたモチ鳥さんは、それに「それは自分で伝えよう」と正しく返す。ここでモチさんの顔が出てくる。アサギリさんがやっとこさ、他者と「対面」したシーンである。見せるべきことの焦点の作り方が上手いよね。

あと、今回はワキだったけど、みどりさんの秘めたる思いもコッチには判りましたぞ。「ちがうクラスだ」と呟くシーンとか、ホロリと来ましたぞ。今んとこは「直角が好き」という属性が極大であるカンナさんも、今後いろいろあるのだろうな。

新世界より・16話。逐電した二人は一通の書置きを残し、その行方は杳として知れない。「愛するサキへ」と題されたマリアさんからの一連の言葉は、彼女たちのかけがえのない関係性を示すと同時にこれまで〜現在の舞台状況を解題するのにも充分なものである。「私たちの町は異常です」。榊原の議長さんの思い懸念と努力も、狩られる側から見れば異常な視線でしかない。…手紙の中におけるサトルさんのすさまじい影の薄さが、逆に彼の弱さを浮き彫りにしているなあ。

それでもなんとか二人を見つけようと、できるだけのことをするサキさんたちですが、その努力は徒労となりそうな雰囲気ではある。それにしてもヤコマルさんの胡散臭さ加減は日増しに強くなってくなあ。早晩人間たちへの反発を行いそう。彼らの出自と環境、そして女王を廃した経歴を見ても、このままの状況で終わるとは思いにくいところ。

実際の困難な状況を反映した悪夢シーンはあれ、サキさんの手の振り方といいやっぱ宮沢康紀のお仕事だろうなあ。あいっかわらず生理的なアウトラインと変形タイミングがキモカッコいい。あとスキー探索中の唐突なサキさん主観の背動シーンは、それまでがCGテクスチャの絵だっただけにかなり大きな対比効果が出てたなあ。あるいは、オブジェクトの多い画面手前/奥の移動絵はCGでもめんどくさかったんだろうか。