マジェプリ

銀河機攻隊マジェスティックプリンス・最終話。スターローズの特攻に勝利の道を見出す司令であり、そうなりゃもうそれしかねーのでいろいろ頑張る皆さんである。そんな中、イズルさんはライバルのジアートさん以外に、自我の中の戦闘本能自体とも戦っている。MJP戦士誰がために戦う。危うく本能(とアッシュ)に飲み込まれかけるも、チームザンネンの総ツッコミによって自我を取り戻すというどうにもシマらない展開がイズルらしく、またこの作品らしいフレーバではありますな。獰猛な表情のまま「…ひどい…」じゃありません。

最終的に何とかゲートを破壊、当面の危機は脱したものの根本的な問題は先送り。またイズルさんのご様子も…ううん、確かに僅かに微笑んだっちう描写はあったれど、あれでは今際の際の微笑みかもしれないじゃないですかー! 戦況と物語がガッツリと終わっているならばこんな感じの思わせぶりエンドもあるでしょうけど、まだまだ戦いが続きそうな流れでこうなるとなんか不穏な要素だけが突出してしまうじゃないですかー! っちうか、これ何らかの続編を見据えたしまい方やんね? ゼヒやってほしいとこだけど…ううむう。

あとペコさんの目が見えた。メカクレ愛好家にとっては判断の分かれるところでしょうが、このシチュエーションならまあしょっがねーかな、ってとこでワシ的にはよしです。ええ。

●総評。前シーズンわらわらとスタートしたロボットものの中では一番地味というか、好事家たちの耳目をそれほど集めていなかった作品だったと思う。確かにパッと見ィではあまり独自な牽引力には薄そうだし、平井デザインもそれほど鮮烈と言えるような要素でもなし、ってとこだろう。それでもワシが個人的にすげえ楽しんで見られたのは、その抜群の丁寧さと安定性によるものですわな。

もちろんケレンやハッタリも好きだけど、ここまでじっくりと訥々とキャラ・状況・設定を積み上げてゆく粘りってのはそれだけで賞賛に値する。5人+1人の主人公たちとその周囲のサポートキャラ、そして敵対する者たちの関係性を、急かず慌てず構築してゆく。こういうときにはこう応えるだろうな、という各人の内面がブレなく視聴側に伝わるまでだ。そこまでやったればこそ、各状況のクライマックスでの感情移入具合がここまで高くなる。

あとアレだ、結構重たいテーマや設定を扱いながらも必ずどこかに「視聴上の軽量化」を設定し、過度に重苦しくならないように心がけている方向性は面白い。淡々としてちょっと喰い足りないという意見も出そうだけど、ワシとしてはこれってかなりプラス要素だと捉えている。いやね、誰しも重大なネタがあったら劇的に提示したいものだよ。それをサラリと胃もたれしないように仕上げるってのは一種贅沢なことだ。出汁と素材に値を張った京料理…というのは少しオーヴァーかしら。まいいや。

ちょいとザンネンなのは当然その余韻少ない終わり方っすよね。こればっかりは本作単体ではちょっとエエ点数を上げにくい。何とかフォローなり何なりが欲しいところであります。あと上でも書いた表現だけど、5+1人のうち新規の一人・アンジュさんの扱いがイマイチ中途半端だったってことでしょうか。後半参入のキャラなれば、ここは作品のカラーせいいっぱいまでハッタリ効かしても良かったかな、とかチラリと思ったりする。いや充分おもろいお人ではありますけれども、それでもね。

てことで、うーん…ワシ的には何というか、視聴の楽しさのスキマにピタリとはまった佳作だったという印象です。世間的には多分そこまでのヒット評価ではないだろうし、ワシとしても大興奮の大傑作とは言えないけれど、前期今期通してコンスタントに楽しませてもらった度合いではかなり上位のアニメでしたよ。あとはこの、尻切れトンボで宙ぶらりんな感情をなんとかするために、ゼヒとも続編のようなナニがあることを期待するのココロ。どうかなあ…難しいやろかなあ。