あまり怖くない話

●我は盆に帰らず、普通に仕事である。通勤電車にも人数の減少は見られるものの、暮れや正月の頃のガラガラ加減って程ではない。お仕事してはる人は多いようですな。よおしそれでよい。休んでる野郎どもは妬ましいのでどっか行け、実家に帰省したり避暑旅行したりして幸せに過ごすがいい。ちきしょう。


折角お盆に仕事に出てきてんだから怪談でもしようか、と職場内でヒマしてる時に話してたのだが、残念ながらウチのビルは割と新しくてその手のエピソードは少ない。精々が地下三階の機械室の打ちっぱなしコンクリ天井に人の顔っぽい模様が見えるとか何とか…っつってもなあ。別にそこで誰が死んだでもなし(新築以前の状況も明らかだし)、それだけではイマイチ恐怖納涼感には欠けるワケで。


いきおい、亡者の怖さよりも生者衆生どもの怖さの方に話がゆく。ここ半年ほどほぼ毎日、一階のロビーで午前中ずうっとゲームとケータイしてるあのサラリーマン風のおっさんは何なのだろう、とかね。暇な学生とか無職とかそういう服装ではなく、寒い時期はスーツで今の時期はクールビズ、ちゃんとした勤め人の服装と書類カバン。されどやってることはソファに座ってゲームゲーム、ケータイ見ながらゲームゲーム。


一応仲間内で「リストラされたけどそれを家族に言えず、毎朝ウチを出ては暇をつぶしているおじさん」という認識となった。観測されただけで半年、多分それ以上の期間そういう状態だろうと。…怖いなあ他人事ではないなあ、と社会的に吹けば飛ぶような仕事しているワシらは深くうなずきあうのであった。ああ怖い。