荒川/四畳半/さらい屋五葉

荒川アンダー ザ ブリッジ・9話。リクさんは何だかんだで教師としての生活を送ることができている。その分だけ常識的世界からの乖離は進んでってんのかもしれませんが、まァそれはどこの世界にもあることですしね。…程度問題っちゃそれもそうなんですが。そしてステラさんも割と日常的に生徒としての役割を受け入れているようだ。声の調子は幼女モード、使用単語は羅刹モード、としゃべり口調が2モードのハイブリッドになってきてんのは、そんなけ性格の二面性が必要とされなくなってきた…つまりまあ、この荒川下世界に精神的に定着してきた、ってことなんだろうな。


と思ったら体が巨大化した。というよりは原哲夫化した。…あー、やっぱしステラさんはこういう二面性キャラ位置で行かはんのね。ギャップ萌え、ってヤツですか。違いますね。


それほど意外でもないマリアさんの戦闘能力話を経て、Bパートは星の人の過去とバックグラウンド。まァこちらも結構どうでもいい。現在の関係性の方が重要だよ、とかここの住人たちは思ってそうだ(ワシも)がね。…しかし何だなあ、土手上のコンビニに行くのにマスクを取ってから赴き、土手下に帰ってきたらまたマスクつける…という、何やら儀式めいた行動が象徴的だ。この荒川下ってのは一種の「異界」にも見える。ヘッポコ理想郷、ままごと社会、モラトリアム世界、まァ何と呼んでもいいけれど。


にしても、星の人の本体がマスクではないか、とか言い出してるリクさんも確実に荒川下的価値観に侵蝕されてきてんなあ。いやいやボケですよワザとですよ、ってそんなん言い募っているとそのうちマジになっちゃうんだって。よう知らんけど。


四畳半神話大系・6話。今回の人生は英会話サークルであり、メインゲストは今までちょぼちょぼ登場してたハヌキ女史。積極性と明るさと男前(女前)さを併せ持つ頼れるお姉さんのハヌキ女史だけど、酒が入ると困ったことになる…いやむしろ困ったことになっていただきたい! ワシも寄っかかられて押し倒されて顔ぺろぺろされたい! という、お話。


今までのパラレル話とは趣が異なり、今回主人公のキャンパスライフにはそれほどの苦労苦難は存在しない。それでも彼が「もっかいやり直したい!」と思うに至った理由は己のヘタレっちさ故である。あの時テメエの本能の声に従ってイっときゃ良かった! 何でワシはああワシは! 三人の乙女(みたいなもの)に囲まれてたってのに優柔不断なこのワシは! というね。


とまあそんなスジの中にあって、白眉はやっぱ後半部分の「酔っ払いハヌキさんに迫られて困り倒す主人公」の一連のシーンじゃよね。意識的無意識的にえっろいハヌキさんも然りながら、自分の裡なる別人格の暴走に振り回されている主人公の人。脳内会議をかき回すそいつの名はジョニー。つまりちんちんである。檜山声のちんちんである。某CG玩具話のカウボーイみたいなCGちんちんである。もうこの、俺を俺をこの俺を暴れさせてくりえェェェイ! っちう辺りのイメージの勢いよ。これぞ湯浅。マインドゲームのラブシーン思い出した。…脳みその部分キャラたちのデザインもエエね。監督のイメージボードが目に見えるようです。


そういえば、イキオイに寄りきられてすっかり忘れてたけど、ハヌキさんが意気消沈してたのは何故なんだぜ。これも次回以降に響いてきそうな要素だな。今回明石さんがカケラも出てこなかったし、これから何かいろいろありそうだ。にしても、主人公の人はようあの状況下で思いとどまれたことだよ…。アンタヘタレの鑑だよ。


蛇足。酔っ払いお嬢さん好きのヤマモト様はお喜びになってるだろうなあ、と拝見しに行ったら予想以上でした。こういう感想読むと、なんかコッチまで酔っ払い女性属性になってしまう。いいなあ。


さらい屋 五葉・7話。ヤイチさんの過去とマサさんの過去。お互いあまり思い返したくないような記憶であり、現在の状況にも影を落としている。ヤイチさんが「水面の枯葉」のように飄々としているのは、そういうわだかまった過去の澱から自由になりたいからなのかもしれない。一方のマサさんはしかし、過去と折り合いをつける術を未だ持たずに居る。…逃げてしまうこと以外の術は、ね。


過去…あるいは郷里、と上手いことやってけてないマサさん。思ったことを何でも言ってしまうような野暮天の彼は、つまり物事に対して真正面から相対するという手段しか持ってない、のである。だからしんどくて逃げちゃう。斜めに見つつやりすごす、ってことができないんだろうな。それが彼の欠点であり、またヤイチさんが気に入ってる長所でもあるんだろう。


ご隠居のとっから二人で帰ってくるシーン、一部ちょっとレイアウトが不思議なとこがあって、途中でカメラが一回イマジナリーラインをわざわざ横切ってんだよな。直後またカメラ位置が戻り、またもやまたぎ越してからそれ以降は逆位置で落ち着いている。同じ方向向いて帰っている二人、当然向かい合って話をしているワケではないんだけど、この一回目の逆位置レイアウトによってつなぎ上はヤイチさんがマサさんと向かい合っているように見える。多分違和感も含め、そういう意図的なモノがあるんでしょうね。よう知らんけど。