そらのおとしもの/空中ブランコ/聖剣の刀鍛冶/銀魂

そらのおとしもの・12話。笑いたいイカロスさんと後ろ髪引かれるニンフさんの巻。これまた非常にテンプレ的なディテイルが満載であって、自動人形の娘さんが主人公の手を取ってドキドキしてなんだこの不整はメイン動力炉に異常がありやなきや、とかもう判りやすいなあ。そういう諸々を「手をつなぐ」ってことに集約させるやり方もまあ、親切でよろしい。


色々の誤解と暴走があって「マスターが喜ぶから」と動物園の檻を毀すイカロスさん。マスターが云々…ってのは多分半分だけ真実であろう。逃げ出してゆく動物たちは他ならぬイカロスさん(とニンフさん)自身の象徴だ。テメエの檻を毀せない(笑えない)から、動物たちに代償行為を働いているのだ。…とかまあそんな鹿爪らしい話は置いといて、鎮圧のために陸海空の各戦力を持ち出してくるこの動物園はどんな存在なのやら。アレ明らかに日本の兵器と違うぞ。よろしいならば戦争だ。


その騒ぎをよそに一人退場しようとするニンフさんの前に現れいでたる…わあ、いかにもデウスエクスマキナな破壊天使、と最後まで判りやすいテンプレで続く。てことで次回最終回かな?


空中ブランコ・10話。野球チームオーナーにして新聞社の首領である「ナベマン」さんの話…って、明らかにナベツネが元ネタのキャラなのに外見30代そこそことはこれまた。いかにもヴィジュアル偏重で仕掛けてくるこの作品らしいなあ、と思ってたらちと変な雰囲気。どうもこの人、テメエが老人であることを脳内から排除しているくさい。彼のパニック症候群はそこに原因があるようで…という話。


カメラのフラッシュがそのままフラッシュバックのトリガーとなったり、ダイアローグに若い外見にそぐわない違和感があったりという下準備→オープンカーにて雲上の存在から市井の視線に降りるという転機を経て、最終的に外見も相応の老人姿となる、というシカケ。…うん、これまたかなり「精神医学エンタテイメント」っぽい回だったのではないでしょかね。30分という短い尺で、なんとかノスタルジィと叙情性を醸し出そうとしている風情も感じられましたし。ここで「マジメ過ぎる記者」の岩田光央さんを引っ張り出してきて、ちょっとエエ感じの雰囲気を出してくるはエエな。


脚本構成で上手いな、と思ったのは二度ある記者の囲みシーン。一発目は割と傲慢に聞こえるような台詞を並べ、二度目はそのラインから大きく外すことなく視聴者の感情移入を許すような台詞群になっている。こういう小手先技術はよろしい。あとはまあ、キッチリ若者とジジイを演り分けた置鮎兄さんの手管かなあ。うん。


聖剣の刀鍛冶・最終話。なんかよう判らんまま町を滅ぼしにかかる置鮎のシーグフリードさんである。炎による浄化だ汚物は消毒だ、てなもんで親の仇の如く暴虐を働く彼の意図は…えーと、最後までよう判らぬまま一旦退場と相成るのでありました…って、これちっとも終わってないな! 仕込んで仕込みっぱなしのネタが大量にあるぞ? 第二シーズン以上が無いと作品としてひどく寒々しいよ、このままじゃ。


…あと、一話の再現ってことで鍛造シーンがクライマックスなのはエエのだが、これまた長々とスキをさらしつつ敵の人が律儀に待ってくれてる…ってとこまでそのまんまなのはちょっと芸が無いな。何かこう、もうちょっと必死こいてる感じが欲しかったっす。


えーとこのまま総評。とにもかくにも、この十数話だけでは何もシメられていないからなあ。それに例えばあの落延び姫様のお話とか、アレはある程度長いスパンの作品の中にちょいとあってこそエエ感じに積み重なってゆくエピソードだと思うン。1クールの作品の中に置かれると、ちょっとバランスが悪い感じがしますですよ。


ま、そこら辺は(あるのかないのか知らんが)第二期を待つってことで。作品のデキ自体はなかなか上質で、セシリーさんが脳筋っぽくて考えなしなのはちょいと気になるが、まァ王道的主人公属性と捉えることもできますしね。本来ならちょっとずつでも経験積んで、進歩変化してゆく過程が描かれるべきなんでしょうけどね。


あーあと作画。パッと見ィのキャラデザインからすると少々異質なくらいよく動く回があって、またその場合の表情の付け方やアウトラインの取り方が微妙にリアル寄りな雰囲気があったりして、結構興味深い絵でしたよなあ。最終話の剣戟シーンの透過光とかオバケとかもカッチョ良かったし。うーん、見て楽しいってのはアニメの本来ですからね。よし。


てことで、このままでシメならば評価しづらいな。そのちょっとご都合主義な演出も含め、実はそれほどキライじゃなかったのは確かです。ハイ。


銀魂189話。何かいつものツナギっぽいお話の二階建て回でございます、ってったってAパートはただのアニメスタッフの悪ふざけなんですけどね! この銀魂という作品においては、基本的に原作のどーしよーもなさの方がアニメオリジナルの工夫を上回ることが多いのだけれど、今回の即物性は久しぶりに胸のすくような考え無し加減でちと感心した。


永井一郎のレビルもどきと古川登志夫のカイもどきで戦争会話させる、っちうとこまではまァ、サンライズならではの悪ふざけだなあと思ってたけどさ。ガンダムそのまま出してそれでオチ、というあのクソみたいな頭の悪さは評価してもいいかしら、と思ったりしたよ。制作側の思惑通りテレビにツッコんでもうたもんワシ。うん、ワシの負け。あと永井さん、だいぶ頑張ったはんなあ…。


Bパートは掌編的なプチエエ話。脳筋で裏表のない(所が長所でもあり短所でもある)神楽さんの相方として、病弱少年ってのはなかなか良い対比対象である。ボサ髪もかわいい神楽さんの真摯な行動が見られるってだけでもファンには眼福ではなかろうか。ワシは「無職の運動」してるマダオさんに目を奪われっぱなしでしたけれども。あとさっちゃんのケツ。それとあと、こういう継ぎ目の回だからかサブキャストがやたらめったら豪華でちょっと面白かった。多分この後の回で続々出てきはるんでしょうな。