そらのおとしもの/空中ブランコ

そらのおとしもの・9話。キャンプがどうのこうのという舞台設定はほぼ意味を成さず、基本的にはトモさんが何か露天商売をしようとしてのことごとくな失敗、に天使たちの「嘘」が絡む話。ニンフさんの(全く原理の判らない)高度ジャミングシステムによってモテ化したトモさんが、ここぞとばかりにホスト暴走するエピソードは、もうちょっとワケ判らんほどにエスカレートさせてもエエのではないか、とか思ってしまうのは第二話辺りのイメージがあるからかしら。それでもまあ、ちんこ使ってトモキタワー→ちんこごと蹂躙の刑、っちう一連の流れは美しかったですが。


イカロスさんは先週の事件でプロテクトを外されたのではあるが、表面的にはあまり変わらず感情表出も人間性も乏しいままだ。そこへ「人間は嘘をつく」と聞き込んじゃったのでゴチャゴチャに…っちう骨子はどっかの民話で見たなあ。人の世界に溶け込もうとする鬼の話だったか。そこへ行くと妬み蔑みあざ笑い、そして効果的に嘘をつこうとし…たが相手の情にほだされたりするニンフさんはとても人間的である。ま、その人間性(≒不完全性)故に先週大失態を犯したのではありましょうがね。


あと、つい手にとって壊しちゃったのが(ちょいと怪しげな)機械人形だとか、自分のことを問われて答えてる時にいじってんのがマトリョーショカだとか、イカロスさんがらみの心象風景的描写が少し凝ってて面白かった。ED絵がイカロスさん主観で振り返る今までのシーンってのもよろし。何となく覚えてるものだねえ。


空中ブランコ・7話。先端恐怖症のおヤクザさんが登場である。第一話の時点で既出であり、その時からヘンテコなゴーグルとヘンテコな行動で記憶に残っていたが…なるほど、先端恐怖症の方でしたか。しかしまあ、話数が進むにつれてキャラ/シーン同士のクロスオーバー伏線が展開されてきてはいるが…そうねえ、イマイチ覚えてなくてスルーしちゃってるのも多そうな気はするな。


ちょいと古臭くかび臭い任侠ォな行動原理を持つ彼だが、その「看板」はある程度までは恐怖症を押さえつけるための反動でもあるのだろうな。徐々に症状が緩解に向かうとともに、彼の心の「先端」もエッジが取れてくると。ま、そういう脚本概要もともかく、今回は「ちょっと精神的にアレなおヤクザさん同士のギャグバトル」という点において結構楽しかった。…いかな逆療法とは言え、先端恐怖症患者にイキナリムリヤリ注射したり、冗談でペン先突きつけたりするイラブさんは流石ではあるけれどね。エエんかいな、この描写。


この作品に登場する患者たちは、基本的に彼らの環境中に既に解決要素を内包しており、イラブさんはそれを指摘するのみに留まる。マジでどうしようもないような患者は登場しないワケで、それはエンタテイメントとしては正しい。…ホンマはもう少し、イラブさんの存在に意味があってもエエかなとは思うけれど、まァ徹頭徹尾狂言回しというのもアリっちゃアリだし、それが精神医学の一面でもある…のかしらね。よう判らんが。