ライドバック/みなみけ

RIDEBACK・最終話。「光の舞台」に戻らんとするリンさん。彼女が手を伸ばすその舞台は、しかし兵器が壊れ人が死ぬ戦場である。それは祝福の光ではない…いや同じものだ…でも。そして彼女は大学に、しょうこさんの元に戻ってくる…え? 戻ってくんの? ただいまなの? てっきり「光」の元へと行っちゃうのかと思った。


それにしても、すずりさんの慰霊碑の前で「彼女に捧ぐ」と踊りつつ無人兵器を破壊してゆくあの歪んだ美しさはどうでしょう。リンさんというキャラがよう出た絵面だと思いましたねえ。惜しむらくは、その歪みの演出がちょっと足らない。感動するしょうこさんの絵もええが、そこは驚愕したり眉をひそめたりする一般人の目線とか欲しいトコじゃんな。それでこそリンさんの業の深そうなキャラがもっと立つと思うんだけど…って、ラスト現実世界に戻ってくるんでしたっけ。じゃいいや。エエんかい。


総評。開始しばらく感じていたリンさんというキャラへの違和感は、要するにワシが彼女の外見と経歴に惑わされてただけでしたな。多分彼女は元々他人や主義主張のためでなく、純粋にテメエの「光」(快楽と言ってもいいか)のために踊る人なのだ。…不満があるとすれば「そういう人」であると解題された所で終わっちまったことやねえ。これからの彼女がどう踊るか、踊らされるか、踊りを妨害されるか…が面白いのではないかと思うだけに。これ、原作ではどう続いてんだろ。そこは気になる。


1話のラストで見せた、ライドバックに乗ることの原初的な楽しさは、あとがちょっと続かなかったのが残念。いやそれと比較しなければ充分にようデケた映像の連発だったので、そう言うのは酷ですけどね。あと、兵器としてのライドバックがイマイチ煮詰められていない雰囲気なのもちょっとな。棒立ちで弾をばら撒く制圧兵器とは考えにくいし、軽快に動き回った方が見た目もエエだろうし。


てことで充分楽しく見たのだけれど、んー…まあ、1クールという容れ物の作品としてはちょっと半端なところが出ちゃったな、って感じ。続編とかあるのかな? あの終わり方では無いような感じでもあるが。まいいか。


みなみけ おかえり最終話。長女さんの気分が優れないのを何とかする妹さんたちの話、次女さんとの離別夢を見て日がな一日べったりな三女さんの話、次女さんの家出を悲しみ後悔するダイイングメッセージトリックの話、の三本。ダイイングじゃないけど、まあ。


てことでみなみけ皆さんの関係性をお題とした最終話である。時期的に中途半端な七夕話を選んでまでのハートウォーミング攻撃は、ちょいとした覚悟があってなかなかよろしかったです。…次女さんにブルータルに当たりつつ抱きついて離れない三女さん、なんかこう、アンビバレンツな心根の動きがエエなあ。あと、シメは汗まみれのホサカさん。外さないね。


総評。これで都合三期目のみなみけだけど、第二期の作家性はやっぱ評判悪かったと見えて、実にどうでもよくて角の丸いもたもたアニメとなりましたな。そしてその戦略は正しかった、のであろう。元々原作の持っていた(であろう)ちょいとズレたセンスの楽しさを、アニメ的別要素を盛り込むことで希釈しちゃうのはやっぱ寂しいよね、ってことで。


取り立ててここがどう、あれがこうと挙げ立てるような作品じゃなかったけど、タラーっと見る分にはとても楽しいよ、という制作側の所期目的は充分に達成できてたと思います。1話出てきただけの齋藤彩夏さんとか、まだネタの引出しどころも多そうだし、続編とかやったりしそうな気はするな。いや原作ストックがあるかどうか知らんですが。あとワシは千葉紗子の糸目姉さんファンです。ホサカさんをどんどんイジれ。