ヒロイック

ヒロイック・エイジ最終話。銀の種族は黄金の種族の航跡を求めてゲートより出立し、我ら鉄の種族は大きな力と調和への希望を得る。全ての契約は成就され、全ての約束は実を結んだ。そして四年後、再びその容を取り戻した惑星オロンにゲートがそそり立つ。黄金の光が降り注ぎ、姫様もうウットリである。そして…姫様はアチラの宇宙へと旅立ったのか、それともエイジがコチラへ残ったのか。ま、めでたしめでたし。


大団円の話というよりは、エピローグをタップリ見せる30分と言うべきかな。とにかくキャラのすくい上げに遺漏の無い脚本で、まさかバカ兄弟まで無傷で帰ってくるとは思わなかったっすよ。ショートカットのちち艦長もエエし、元気に復活のビーさんもかわいいけど、やっぱ一番魅力的だったのは「感情をもてあます」小清水ユティだろうなあ。あとしぶしぶ左官仕事してるパエトさんとか。なんか最終回のアール・デコ究極超人あ〜るの妹さんね)みたい。


ラスト、まさに「降臨」してきたエイジさんのシーン。最後まで彼の顔を見せず、姫様の反応だけで表現した節度と上品さを買いたいねえ。そうそう、大きな話の終わりにはやっぱ余韻がなくちゃね。


総評。これだけ大きな話を地上波アニメで語り切ったことをまず賞賛したいものだ。気を抜くとあっという間に陳腐になってしまいがちなジャンルと設定の話を、奇策ナシの真正面でやっつけた脚本作りの体力。それは現役の作家という才気によるものだろうか。そのデカい舞台を引っ張るためのキャラの立たせ方も上手かったと思う。時に過度に単純と思えたりもしたが(あの兄弟ね)、全て終わった今はそれもまた味の一つとも思えてきましたよ。


あと、ストーリーや風呂敷の規模もそうだけど、画面に映る様々な構造物、この巨大感は堪らんかった。過流状ブラックホールとか惑星防御球殻とか、ああいうムチャなネタには弱いんだよなワシ。


話の雰囲気がヤケにでかく見える理由の一つは、多分主役たちの完璧ぶり…要するに「成長の余地の無さ」にもあったような気がする。はるかな未来のはるかな宇宙を動かす話だから、その登場人物ってのはウジウジと成長前の溜めを見せるようじゃアカンのだろうね。僅かに姫様はエイジとの関係を変化させていってたけど、それもなんか「伝説上の女神の悩み」みたいだったし。そういう浮世離れ感が、逆にこの作品の雰囲気を支えていた、のかもしれないと思いました。以上。