怪物くんは結構いい加減なオチの話があって好き

藤子不二雄Ⓐがお亡くなりとのこと。そらまあ藤子不二雄っちゃァ私の人格形成初期に多大なる影響を受けた存在であり、たまらんものがあるわな。安孫子先生の方はガキの頃はあんまし響かなくて藤本先生の方に傾倒してたんだけど、短編集一気読みした時の後に引きずりすぎる感覚はちょっとほかに代えがたい経験であった。マグリット好きになったキッカケがこの時(マグリットの石)だったなあ。

改めて哀悼の意を。

パリピ孔明

●新番組・パリピ孔明。死せる孔明現代の歌姫をプロデュース。転生モノとしてのギャップはまあそういうギミックで、主人公がほかならぬ孔明さんなのでその頭脳もて状況把握と馴化の話がとても早く、ストレスレスと言える。転生初日がハロウィンなのはいろいろと上手いなと思った。メインお題がお歌ってことで、歌舞音曲シーンがなかなか丁寧に演出作画されててこれが見どころなんだろうね。だろうねってのは私があんまりその辺に食指が動かないからってそれだけの話で、これは作品の瑕疵ではない。ともあれ、意外にもというと失礼だが、結構カチッとしたデキになってて見やすかった。ちょっと視聴継続してみよう。…孔明さんに置鮎龍太郎、こういう役は自家薬籠中ですな…と思ったが検索すると、三国志キャラはさんざんやったけど孔明さん役は初めてらしい。割と意外ではある。

ハコヅメ/平家物語/ルパン三世

●ハコヅメ・最終話。連続暴行犯、その決着。シリーズの終わり話ってことでかなりマジな犯罪者が出てきて、そりゃ警察の話だから当然なんだけども、普段のコメディからギャップがあってこれはこれで効果的ではある。それまでなんとか無難に当たり障りなくお仕事したい、という描写だった川合さんが、ここにきて積極的に「この事件は私たちが参画したい!」と切望するに至ってんのが進歩なんだろうなあ。あと自動車による尾行時の細かいネタとか、こういうのはへえーってなりますね。面白い。

総評。人気漫画原作の警察官モノであり、過不足なくアニメ化されている作品だと思う。思うのだがその過不足の無さがどうも物足りない。贅沢な不満であることは承知の上で、どこかイビツな…とは言わんけども、フックとなるようなちょっとした「異形さ」があると良かったんだけどな。作画的に突出しているとか演出が妙だとかテンポが良すぎるとか、そういう引っ掛かりに乏しかったので割と当たり障りのないお仕事モノに留まってたのが個人的には残念。重ねて言うけど、贅沢な文句です。

単にオフビートなコメディってだけじゃなくて結構重いテーマの話もあって、そこら辺はよろしかった…というより、こっから先の展開でそういうのがどんどん出てくるのだよな。今回の1クール尺だとどうしても顔見世興行というか、イントロで終わっちゃったって感じはある。2期以降があれば…まあ、私が見るかどうかは判りませんけれども。

ともあれ、ちゃんとしたデキであったことは間違いない。毎週楽しんでみてたしね。うん。

平家物語・最終話。壇ノ浦、平家の退場、その後。穏やかな都の様子とゴリゴリの戦いのカットバックだが、場が海なのでどこかしら透徹した美しさがある。板子一枚下は…極楽浄土か竜宮か。この時代の海戦って、ドラマでもなんでも俺あんまし見たことないので面白かった、っつーか流石に凝った絵作りしてんなあ。入水に至る芝居も細かい。…生き残って「しまった」徳子は、びわとともに祈り、語ることで平家を残すことになる。諸行無常も、そう語ることで何がしか残る。そういう話。

総評。とても気合の入った作品であり重厚なパワーのある作品なんだけど、やっぱどうしても…ねえ、尺がねえ。いかに中だるみがあろうとも、この語るべき内容ならば2クールは欲しかったなあと。日々の積み重ねも不穏な予感も、滔々と流れるような大河ドラマ的な感覚があったればこそというのはあんだよね。どうしても駆け足になってしまう、その要素たちがどれもこれも惜しいな、と思ってしまった。あんまし詳しくないだけに、もっと見たかったなと。

あとはまあ、悠木碧すげえな。この話やるなら避けて通れない琵琶の語りをちゃんと、作品のキモとして成立させるだけのパフォーマンスをやりきったってのがすげえ。この一点だけでも作品作った甲斐があったとは思う。…ともあれ、このクォリティの作品を1シーズン楽しめたのはエエ体験でした。犬王はどうだろうかな、こっちも楽しみ。

ルパン三世・最終話。女たちの人生を操るトモエ先生の目的は、ルパンへの歪んだ愛情それのみ。有り余る強力な能力をしょーもないとも言える一つのことに浪費してしまうという異常さは、シリーズヴィランとして良い造形。また、周到に作られた「オリジン」よりもその後上書きされた経歴こそが本質となるというギミックも、シリーズへの自己言及的であるけれども悪くない。願わくばもうちょっと、Bパート全域総合として丁寧な伏線があると面白かったんだけどな。京極夏彦の絡新婦とまでは要求しないけども。

総評。このキャスティングの座組となってから…第4シリーズから3作目、小池健の関わった作品も含めるとそれ以上になるけどそれは一旦横に置いといて。長いスパンの構造があってその間に単発ネタを盛り込む、という構成は4・5シリーズに似ているのだが、どうしたことかそれらの前作よりどうも魅力が薄い。

1クールの「ホームズ」話、少々薄味の話ながらホームズのキャラは割と面白いし牽引力はあった。俺、どっちかっつーと作品の根幹話よりフィラー話の方を好んでしまう傾向があるんだけど、このアークに於いてはメインのスジの方に魅力を感じてしまった…というより、単発フィラー話がどうもよろしくない。そりゃ俺がファンだからという重大な贔屓目があるのは承知の上で、押井守の担当回が上位の面白さになってんのは問題だと思うよお。上記の通り第5シリーズが構成としては似てた上におもろかったので、言っちゃ悪いがこれは監督の各話管理具合がおれの好みじゃなかったってことなんだろうかなあ。

2クール目のギミックは「女」だけど、これも上手く生かされてたなとは言いづらい。シバリが女であるということにガッツリした必要性があんまり無いんだよなあ。トモエ師がそういう能力を使うからってのは物語上の要請、まず女シバリありきの後だしね。…これが上記の小池健による作品なら、とふと思う。猥雑さと陰のある、ダークなトーンで描かれた女性たちならどうだったかな。そういう意味で、表現形式と内容にちょっと齟齬があったという気がせんでもない。

ともあれ、この座組・フォーマットでの定着はいいんじゃないかなとは思うので、また何年後かに第7シーズンでもやらかしてほしいなとは思います。つーか、メインのキャストが今もう60代だもんねえ。やれるうちにやっとかんと、という思いはある。なあ次元さんよ。

ジンの味とか

●翠というジンベースの缶酒売っていて、時々買って呑む。ジンのフレーバーは松ヤニ臭くて苦手だった。だって松ヤニ臭いし。それが何度か飲むうちに「アリだな」と思えてくるってのが不思議なことである。しかしまだジン初心者なので世間的には「フレーバーが弱い」とされる翠程度で今んとこ充分。そのうちまあ、慣れてきたら本格的な方に行くかもしれない。行かないかもしれない。

ウィキペ見るとジンは「比較的個性が強くない」蒸留酒ということになっている。コレでこうなら世の蒸留酒ってのはどんだけ癖が強いんだろって思いました。とりあえず初心者にとってはこの香りはキツいとは思うんだが、しかしきついフレーバってものはそのまま嗜好の深さを生むのだろうかなあとも思う。納豆とかくさやとかウォッシュドチーズとかね。俺は苦手だけど激辛食材なんてのもそういう類のモノかもしれない。

とか思いつつジンのソーダ割缶を飲んでいる。この松ヤニ臭いアルコールが、なんで旨く感じるんだろうかね。ねえ。

キムチとゴマ

●職場での会話から触発されて本日の夕飯はキムチ鍋とする。その会話内でキムチ鍋の味付けについて出てきたのが摺りゴマという素材。以前キムチ鍋やった時にキムチの辛味と塩味だけで鍋全体を乗り切ろうとしてうまくいかなかったことを踏まえ、中華ペーストや塩胡椒などで補うつもりではあったのだが…そうだよ、摺りゴマだよ。安易に味の濃さ出そうと思ったらこれに如くはない。

てことで夕飯にモツキムチ鍋、湯通ししたシマチョウとキムチをゴマ油で炒めて酒と水を足し、そこに野菜具材と摺りゴマ入れて煮て喰う。摺りゴマなんて別に高価いものでもなし、具のついでに追い摺りゴマしてたら百均の一袋使い切っちゃった。おかげですっげえゴマゴマしたキムチ鍋になったけど、それはかなりゴマ旨かったので快楽ゲージ的には問題なし。元が安いので家計ゲージとしても異議はない。健康的には知らない、ていうか調べてません。

ともあれ、なんだか美味しかったので次回以降なんらかのフィードバックはあるでしょう。食い物だけにフィードバック。食い物だけに。…キムチ鍋でちょっと辛すぎた時の緩衝手段としては手段の一つではあるかもしれない。

平家物語/ルパン三世

平家物語・10話。維盛の出家と入水、重衡の虜囚。平家は櫛の歯が欠けるように落ちてゆく。びわはそんな平家を、そのすべてを見て語ると言う。資盛の若き日のすっとこどっこいからこっち、そしてどこまでも。…頼朝さんが最後ここにきて、何やら急にジェノサイドに目覚めてますけど何でしょうね。割とワシらがよう知ってる頼朝になってきた気がする。「戯れは終わりじゃ」つって山の向こうから笏で殴ってきたりはしないだろうけど。あと那須与一の話が一瞬で終わった。やっぱもっと尺欲しいなあ。笏じゃなくて。

ルパン三世・23話。各国の女たちの言葉一節ずつ、その連鎖をトリガーとして「完成」しちゃうルパン。それを仕組んだトモエ先生の下にてルパンとマティアは対峙する、ってとこまで。あのルパン、精神を神か白痴になぞらえられるほどの人外を操るという大仕掛けとしてはまだちょいと足りない…というか、プロットに対しての演出がちと薄い気はする。まあこのエピソードも途中なのでこれからどうなるかってのはありますけども。あとあれだけで済むとは思えなかったモリアーティが再登場した、けど出てきただけっぽい扱いなのは今後シリーズのレギュラー狙いなのかしらね。

ルパン三世/ハコヅメ

ルパン三世・22話。フィンという名の女性がアイスランドっぽい土地に向かい、出生と共に亡くなった自分の母親について調べている…という、一見どうでもいいような事案が何故かルパンに関わってくる。当然そのリンクとなるのはトモエ先生。それまで割とのんびりしていた雰囲気が、この人が話に介入してきた途端にじわっと冷たくなるのが上手いとこ。花屋のマティアさんも並行して関与しつつ、どうやらこの案件はトモエ先生が何らかの「失敗」をして思い通りにならなかった…それ故にフィンさん/彼の母は通常の生活に戻れた、とそういうことなのかな。まだ語られない事象が多いのでよく判んないけども。トモエさんは言葉一つで他者を動かす、レクターっぽいキャラでもあるみたいだが…さてねえ。

●ハコヅメ・12話。容疑者似顔絵、実況見分、張り込み、被害者への聴収、防犯カメラ精査などなど。婦女暴行事件をコアにして様々なお仕事が多面的に描かれる、こういうのは内側で実地に経験してきた人の視点だし、それをエンタテインメントとして描けるのは力量だよな。源と藤の口喧嘩、それぞれの立場が判るだけになかなか辛いとこある。山田さんがひっぱたかれて喧嘩が何となく収まっちゃうの笑ってしまった。酷いけど。ネタが見分人形のブラだし。あと「下っ端の刑事は使い捨てですか!」「いいえ回復次第リサイクルします」という非常にウィットに富んだブラック労働宣言も笑った。酷いけど。