プリテンダー/魔女の旅々/体操ザムライ

●GREAT PRETENDER・23話。それまでの敵もすべて取り込んでの一世一代の大舞台。エピローグもしっかり取って、2クールの話に見合った視聴後感を提供してくれる、なかなかサービスの良い終わり方。…まあそりゃ、要するにローランたちもあの3悪人どもと同じ側の人間だわなあ。この先があるとしたら、朱雀姐さんたちとも組んだりするのだろうか。あとこのパラレルワールドではセガール…もといラジーさんが大統領になるのねえ。誰かと思った。

総評。脚本も演出も作画もすげえ凝った作品で、先がどうなるのかの牽引力が非常に高い上等なドラマ。しかし「騙し騙されの話運びで最後にどんでん返し」と、「主役の枝村が詐欺師側とこっち側の両方の要素を持つ」の二つの構造により、毎度々々枝村が騙されて終わる…ってのがちょっとアレなことだなあ…と思ってたら、ラストアークでまさにその違和感自体をメインに持ってくる、というのが上手かった。それもすべてかっちりと決まったレールの上ではなく、ローランも枝村もイレギュラーとぶれを持っててそれ越えての大団円、という構成。落としどころとしていいバランスだと思う。

続編もあれば見たいけど、まあスピンオフの方がいいかもね。またぞろエダマメさんが自分の意志で行動してたと思ったら実はローランの掌上でした、ってのは流石に食傷気味だし。…とまあそういう感想を逆に利用した筋を書かれかねないのがこの作品ではあるのだけれど。とまれ、楽しい作品でした。グッド。

●魔女の旅々・最終話。前回がレギュラーキャラ総出演という結構最終話っぽい話だったので今回はどうすんのかなと思ったら「主人公ばっかり大量に出演」というワケ判んない形で押し切られた。これはこれで一区切りっぽい話ではあるなと思いつつ、最後の最後に次シーズンのキャラと思しきアムネジアさんなるお嬢さんを顔見世して2期への目くばせもしておく。ソツがない。

本編、あり得たかもしれない自分たちの大集合っちうのは、七人のナナというかパラレル同窓会というか…例えが古いな。カシコやバカや粗暴なイレイナさんに交じって、ゲル状とかゾンビィのイレイナさんが居るのが可笑しい。この辺は他作品のパロディだろうけど、六つ子イレイナさんはあれ本人がどうこうというよりあのお母んが頑張った結果ってことだわな。あとスタッフロールが本渡楓オンステージのふざけ方がベタでよろしい。…忍者イレイナさんってどっか居たっけ?

総評。いろんな国をめぐっていろんな話をしたい、という作者の意向はよく出ているし、実際シリアスからバカまで話のレンジが広い。どちらかと言うとキャラクタドリブンの「このシチュエーションでキャラたちはどう動くか」が重点っぽくて、割と話は大雑把だったりする。主人公のイレイナさんはじめ主に魔女さんたちがどいつもこいつもエエ性格してて、その点においての取り繕わなさが個人的に好印象だった。ただこれはアニメ化の際の取捨選択によるものかもしれないが、各地旅する割に特定キャラの登場が多くて、どうも世界が狭い感じになってたのは残念。他作品のキノの旅でも思ったんだけど、もっとドラスティックに人や町のデザインが違ったらおもろかったのにな、とかね。実際それやると世界設定構築ってこったし大変過ぎるんだろうけど。

とまれ、毎回目先が代わって楽しませてもらいました。人気あればすぐにでも2期を作れそうではある。どうでしょうね。

●体操ザムライ・最終話。最後は新垣さんたちの戦いをクライマックスとして、レイちゃんの演技力に救われるレオさんを絡めて大団円。肝心の体操シーン、感覚的に判りやすいとは言えない鉄棒演技で見てるこっちが「おお…こりゃすげえ」と思わされる、ちゃんとした演出になってて感心した。あの辺多分、ちょっとファンタジィ入ってるんだろうな…ってのも判るくらい。んで鉄っちゃんの掘り下げがいささか少なめなのが残念だが、こうして一本気に突っ走ってきた彼が実は城太郎ファンボーイであった、という仕掛けが生かされるのはこのくらいがいいのかもしれない。ある意味で主人公的な動きではあるしね。その他のキャラもちゃんと見せ場あったけども、吉野さんは…報われないんだろうなあ。多分。

総評。どうやって企画通ったんだろと思うくらい、なんか地味な作品。それは話の構成が「バトル→挫折→復活」の連鎖みたいな単純構造ではなく、登場各キャラがオリジナルな精神をもって行動し、困り、奮起し、対応することで進んでゆく…というかなり真っ当なドラマでもって作られている点でもそう。てなワケで世間的なウケは高くなかったと思うけど、でもいい作品だったなあ。一つには主人公位置の城太郎さんが、割とエエ感じに大人の感性してたので安定感があったのもあると思う。いや、天然で他者の理解に乏しいところはありますけど、それでもね。

あとはやっぱ、もうちょっと尺があったらなあ、って感じ。このコンパクトにまとめた構成もそれはそれで美点だけども、せっかくあんなキャッチ―なサブキャラをいっぱい配したんだからもっと彼らのカラミを見てみたかったってのはあるんですわな。鉄っちゃんに関してはあの喰い足らなさがストイックさに繋がってたと言えなくもないけれどね。エピローグももう少しだけ余裕があると良かったしねえ。

ともあれ、意外なほど楽しんだのは間違いない。うん、こういう作品がたまにあるといいよね、これからも。あと城太郎さんたちはちょっとレイちゃんに頼り過ぎなので、もっと助けてあげなさい。以上。