鬼平/オルフェンズ/リトルウィッチ

鬼平・5話。兎忠こと木村忠吾担当回。ヘタレで誘惑に弱くて図に乗りやすくて、でも本当にイザってとこでは肝も据わるという…まあその、憎めないマスコットみたいなお方ですな。番組始まっていきなり軽妙なジャズに合わせて女相手に腰振ってる兎忠のシーンであり、何というか大人っぽさとしょーもなさが同居した開幕でしてなかなかのツカミ。勤務中に女郎に入れあげて蓄えも身内の借金もつぎ込んでスカンピン、ってのは流石にダメすぎる。そんなお話。

気弱ながらも男を見せ、お頭に懺悔するも向こうはお見通し、これで最後に会ってこいと渡された三両持って茶屋に行って知る実にくっだらないオチまで、兎忠の魅力(?)を演出するにほぼカンペキな回と言える。場面転換にいちいち「あっ…」と気を遣ったような台詞入れるんじゃありません。こういうやらこいとこも鬼平のテイストの一つではあるよなあ。

今回の賊・墓火の秀五郎、あくまで急ぎ働きの凶悪な人間だが働きを外れれば馴染みの女郎に粋な計らいも見せる。善と悪が同居するのが人間であり、そう簡単に割り切れるものでもない…という池波キャラの典型っぽいお人。それは平蔵もそうだし、まあある意味兎忠もそうではあるのだよね。そんな賊に土師声でビートたけし顔をあてがうってのはキャラ立ってるよな。低く構えて匕首を逆手に持つ、あのポーズはいかにもであった。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・43話。マクギリスのクーデターに追随する鉄華団。ただ腐敗を糾弾するだけでは世の大人連中は動いてもくれまいが、そういう立て前社会なりゃこそ「バエル」という象徴を押さえてしまえば大義名分が立ってしまう。動乱を巻き起こすマッキーの前に立ちはだかったのはヴィダールという仮面のガエリオさん。…前シーズンで一旦極限の衝撃を受けた後ってことで、落ち着きや達観具合が尋常ではない。マッキーの行動を把握した上で、組織としても思想としてもそれを止めねばならん…と言う彼はなんだか主人公のような立ち位置であり、そこにインタラプトしてきたミカの方がちょっとした擾乱要素っぽいテイスト。こういうツイストはこの作品の味わいであるよなあ。

マクギリスの回想で割とガッツリ男娼としての経験を描いてるのは思い切ったなと。こういうバックボーンは鉄華団の面々にもあるのだが、そんな出自をずうっと押し殺しつつもエネルギー源として生きてきた、という「あーこれは絶対めんどくさい人だ」っぷりはマッキーにしか無い属性であろう。問題はそんな彼のかつての行動が、それまで裏表もなかったガエリオにも大きなバックボーンを与えてしまったってことやろね。これで物語上も対等に立つことになるワケだしねえ…マッキーは楽しんでるみたいだけどさ。

ヴィダールとバルバトスとバエル、それぞれなかなかのイケメンガンダムが一堂に会して牽制したりド突きあったりするあの絵はなかなか華があってよろしかった。ライトアップされてラスボス立ちしてるバエルはあれ、ものすごく大張ポーズしてて一種の歌舞伎だよなーと思ったらやっぱり大張作画でした。相変わらず楽しそうだな。

リトルウィッチアカデミア・6話。相変わらず魔女授業には落ちこぼれ気味のアッコさんであり、イケメン御曹司が学園にやってくるってその日にも一人変身魔法の練習中である。ダイアナの幼馴染にして魔女魔法に対してはどうも冷ややかな視線を持つ彼・ハンブリッジ伯アンドリューさんは、例によって一人突っ走ってるアッコさんの行動に巻き込まれてしまうのであり…というね。

理知的で冷徹なアンドリューさんに対し、ただただ情熱と勢いだけで語り倒すアッコさん。当然ながらアンドリューに分がある勝負なんだけど、アッコの変身魔法がいらんことしてしまったおかげで否応ナシに同じ土俵に立たされてしまう彼が可笑しくも悲しい。そしてこれまで、ある意味そんな情熱だけで進んできたアッコさんにちょっとした自省点が発生するイベントでもある。対象へのあこがれだけでなく、それに見合った自分になっているのか? 自分で自分を認められるのか? という視点。…多分、彼女自身も心底では判っていたことなのだろう。あえて気付かないフリで進んできたことは、まあ…良し悪しではあるけれども。

しかしこの学園と先生たち、どうも旧弊すぎるってことなんだろうね。わざわざ反対派の重鎮招いてお見せする演目がアレ、ってのは自覚自体が無いんだろう。先週のファフニールへの対応といい、泥縄というかことなかれというか…確かにここはアッコのような、ちょっとした劇薬も必要なとこかもしれない。あと生徒みんなイケメンさんにきゃあきゃあ言うてるなかで食い気まっしぐらなロッテとスーシィがなんか面白い。キノコ喰ってりゃ割と幸せなスーはともかく、惚れた腫れた関係はロッテさんの好みなような気がするけども。あるいはフィクションの恋愛じゃないと燃えないのかしら?