電動の伝統

●ポルシェ博士という人がいる。掟さんではない。カエルみたいな顔の自動車作ったりしてたおじさんだ。


この人は上記の自動車以外に、戦車をこさえてたことでも有名である。そして戦車に関しては、何故か筋金入りのマッドサイエンティストであった。


200t弱の超重戦車「マウス」もどうかしてるが、このおじさんが傾倒してたのが「電動戦車」というカテゴリだ。ガソリンエンジン回して発電し、その電力でモータ駆動する。ハイブリッドですな。


当時の戦車ってのはギアシフトが大変で、ちょっと無茶するとすぐギアボックスが毀れた。電動にすれば、こんな重くて扱いづらいギアが無くなって万歳! って発想は判らんでもない。ただ、やはり当時の技術力ではムリもムリな話ではあった。


出来たのは当然、パワーは出ないわすぐ火を吹くわ構造は複雑だわでどないもしゃーない代物だった。このシステムで作ったティーガー(P)は坂道では砲塔が回らなかったそうな。パワー不足で。


●通勤の道すがら、カップルが電動自転車に乗っている。ところが後ろの彼女は、そのつまり、なかなかの質量を持っていらっしゃるようだ。モータがヴィィィィ、と悲惨な声を上げている。野郎の方もペダル漕ぐとかすればいいのに、電力に任せっきりである。


その光景にワタシは、ポルシェ博士の酔狂と苦難の歴史を思って涙したのであった。ごめん嘘ついた。ちょっと笑った。