ヒコーキの心

佐貫亦男「ヒコーキの心」、三巻まとめて読了。一巻目は既読だったが、続・続々と見つけたので通しで読んでみた。


ライト兄弟からエアバスまで、の航空歴史を技術者視点から雑感する。キャメルとかフォッカー三葉とか、航空戦にロマンと希望があった時代の話も面白いが、筆が冴えるのはやっぱWWII期ですな。何がどうって、堀越二郎やら菊川静男やらと実際に会ってて、九七戦のペラ作った御仁である。そら言葉にも実感やら重みやらがあろうて。


当事者ってワケで、米国機の記述には複雑な感情が垣間見えますねえ。特にグラマン系とかB29とか、あの辺。ま、確かにワイルドキャット辺りを「美しい!」と思うには大概酔狂なセンスが要るだろうが。あと英国機のデザインも結構ボロクソに書いてますな。…蛇の目ファンにとってはある種の褒め言葉かも知れんが。


イラストはおおば比呂司。ワタシはNHK「ウルトラアイ」が原体験だなあ。この人のヒコーキ絵は盛大にヨレてユガむ。しかしてそれが、飛行機ごとの「顔」そのものとなっている。かっちょエエ。


…ちょっとだけ、本文自体もヨレる時がある。お齢のせいかしらん。まあこれも味と言えんことも無いが、前後で全然繋がってない文とかは少々辛いかも。…なんか後のほうに行くほど文章が心もとないような気が…。