宝石の国/魔法使いの嫁

宝石の国・5話。消えたフォスの探索隊が組まれおろおろする宝石たちの一方、件のフォスはでんでん虫の人に身内を取り戻す人質として使われている。絶体絶命ってとこでその「弟」が大暴れしちゃったので取引はチャラ、月人はどっか行ってフォスは月に行かずに済む。のだけれど、皆のもとに流れ着いた彼は顔の一部と両足を失っており、まあ宝石だから命に別状はないが、その分記憶も失っていたのでした、というね。

自分を騙したでんでん虫の王に「そんなとこ見たら怒れないや」と言う、フォスさんという人はお人よしである。身を削ってまで他者に関わろうとする彼の性質は美しいが、そのことで記憶を失い他者との関わりが薄れてゆくのは皮肉ではある。記憶の喪失ってのはつらいね。それは本人の存在の履歴、過去の自分そのものだからねえ。今んとこフォスがあんな性格だからまだ救われているとこもあるけれど。

今回もまたダイヤの人がいちいちヘンにせくしいで、なんか面白い。辰砂にフォスのこと相談しに行って「何かを探しているのかも…辰砂のハートとか?」つったり、探索中にケツぷりぷりさせたり、この人だけなんか独特のノリですな。あとジェイドさんも微妙に抜けキャラでいいねえ。フォスに忘れられてマジ落ち込みしてるのがちとかわいそうでしたけれども。

魔法使いの嫁・5話。何か知らんアヤシゲな魔術師に「お前を買ったあの魔法使はアヤシイぞ」と言われても困るチセさんである。まあエリアスも饒舌なタイプじゃないし、なんか隠してると言うよりはあまり言う気がない、って感じもする。とまれ、ここはエリアス側に付いて猫殺しを浄化することにした彼女だけど、どうやらその黒幕は過去にある。唆されてだまされて、とうとうこの世に張り付きながら他の命をすりつぶすような存在となったその男…とその妻。そんな話。

この過去回想シーン、猫の命を奪った上で妻の体は崩れ去るというなかなかにエゲツない話になっててこりゃ確かに異形にもならんかって感じ。そしてチセさんの導きによって彼ら二人は浄化されるんだけど、これは何だろうね。一種の「呪」というかね。「この世から去って消えてしまう」という一面では同じ結果なんだけど、(チセさんによって)与えられた意味性によりその本質さえも全く別の、美しい結果になる…みたいな解釈をしてしまった。魂は経巡り流れてゆく、という輪廻っぽい概念はキリスト的というよりもケルトのそれに近そうだ。

今回は前半で邪魔したなりそっから出てこなくなった魔術師たち、これは次回になんかかんかあるんでしょうかね。チセさんの命とか、そういうのの絡みもありそうだしな。