顕在化したマッチポンプ

●以前の職場でかつて居たというバイトの人の話を聞いたことがあって、この人がなんかこうめんどくさかったのは「些細な問題を自分で作って自分で解決する」ような人だったからである。割とどうでもいいような日々の起伏、例えばそこにゴミがあったとかここの返答で噛んだなどを殊更にあげつらい、その上で「それは私が問題なく片付けましたのでご安心ください」とやる。まだその程度なら良かったのだが、そのうち「ゴミを自分で置いといてからそれを発見して騒ぐ」ようなことをやらかしだすに当たってとうとう職場を蹴り出されたそうな。

全て伝聞であり信憑性も判らんものであるが、何となく「確かにこういう人居るなあ」というか、もっと言えばワシの裡にもその行動原理が判らんでもないという部分があったりする。そうねえつまり、しょーもない自分を客観視できず、何らかの形で役立っている自分を幻視し、それにひたひたと溺れている状況なのだろうか。マッチポンプというか代理ミュンヒハウゼン症候群の変形というか、ワシの心のバランスが崩れたら似たようなことやっちゃうんじゃねーかという恐怖もあったりする。

とまあなんでそんなこと思い出したかっちうと、さっき本棚の上のほうから文庫本が落っこちて、下に平積みしてある本の山の上にキレイに乗っかったからである。「イヤイヤ大丈夫ワタシこのとおり自分で自分を片付けましたから」ってそもそもお前が落っこちなけりゃ問題にもならなかったのだよ! 勝手に事案作って勝手に解決すんな! 本の分際でああ分際で!