夜の舞姫さま

●仕事帰りに値引き惣菜買おうとたどり着いた閉店間際のスーパー。店の前の閑散とした駐輪場に手持ち無沙汰な小学生高学年くらいのお嬢さんがいらっしゃる。買い物中のお母んでも待ってんのかなとぼんやり見てたら、彼女いきなり華麗なステップで駐輪場の端っこまで跳ねてった。アレだアレ、クラシックバレエ。くるくるぴょんぴょんだ。人気が無くてとっぷりと暗い夜にそこだけ明るいスーパーの前、レンズの分厚いメガネも無造作にくくった後ろ髪も実に地味な女の子なんだけど、この一瞬のものすげえ非現実感にちょっとクラっと来る。…いや、お嬢さんにとっては毎日の現実なんだろうけど、この風景この時間帯としてはあまりに突飛な組み合わせでありましたよ。なんかこー、ありがたいありがたいと拝んでしまいそうなイヴェントであった。ご本人が何も気付かず、踊り終わったあとの向こうっ端でまたフツーに人待ち顔になってたのも余計に「あれ今のって幻か何かか?」って感じがしてねえ。