謎の彼女/アクエリオン/ちはやふる

謎の彼女X・11話。早川さんのすげえ積極的なアプローチに陥落寸前の椿さんである。相変わらず見てて「ええいもうちょっとシャキっとせんかいこのヘッポコ男子めが」とか思っちゃうのは同属嫌悪のワシだろうか。当然ワシはこんなエエ目を見たことないのであって単なる羨望と嫉妬である可能性もすてきれませんけれども。とか何とか言うてたらそこに卜部さんも丘さんも乱入してきて割とカオティックな状況となり、最終的には目隠しした男子の前で今カノと元カノが全裸で唾液を舐めさせて云々、…ってどんな高度なプレイですか。これは羨望と嫉妬を受けてもしょうがない。主にワシから。

結局ドタバタと振り回された椿さんは、多少のイレギュラーはありつつもほぼ女性たちの掌の上で右往左往していただけであった、というね。卜部さんの言うとおり、徹頭徹尾椿さんは「男の子」なのである。それはある意味で理想化された男の子と女の子の関係性であるとも言えるワケで、つまりは正しき意味でのファンタジィ。気付いているか椿さん、今アナタは幻想世界の住人なのですよ。

モヤモヤを吐露する早川さんと狼狽しつつも受け止める椿さんに対し、卜部さんはことさら攻撃的な態度を纏わずなんしか「導き」を教授しようとする。その心のありかたを示すために「鋏を机の上に置く」っちうカットを入れるのは効果的ですな。言ってしまえば彼女にとって鋏ってのは矛であり盾であり、他者に対する心の攻性障壁が外部化したみたいなもんですから。

アクエリオンEVOL・25話。あっという間に両親二人を喪ったアマタさんはその怨みをカグラさんに向け、んなもん知ったことかァとカグラさんは受けて立つ。そこにミコノやらカイエンやらいろんな人を巻き込んで、ここにVSブラックアクエリオンという状況に相成る。全てはミカゲさんの思うがまま、今やゼシカさんの体を全て乗っ取って高笑い。…うむ、やはり「俺を倒せば全て解決ですぞー!」っちう構図を提示しているのは判り易うてよろしい。

一方のアンディ/MIX組は何とか快方に向かいつつあるようで。未だ体は男の子のままのMIXさんだけど、記憶は戻ったしまあ何とかなるやろ。あるいはこの作品の場合、別に男の子同士のままでもさほど問題ないと言えんこともない。あんなけでかちち指向性の高かったアンディが、ないちちになっちゃったMIXを「そんなもん関係ない!」とばかりに抱きしめるという辺りが感動のしどころ…なのか? 結局この期に及んでもMIXさんとの合体は直前キャンセルされちゃう、という天丼ネタもおまけとして盛り込まれております。

相変わらずどこか散漫な話の流れではあるが、ひょっとしてこの迷走感もある程度は意図的なのかな、とか思ったりする。上半身のみで戦ってるアマタとカグラや相方の欠落した状態の世界など、アンバランスでいびつなモチーフがそこここに出てくるのもその一環かもしれない。判らんけどね。

…などと言いつつ、今回一番の見所はミカゲさんの回想シーン、アポロニウスと合体できたと思ったら犬でしたー!? っちうネタだったと思う。あのいかにも「ええええええ!?(ガビーン)」というオノマトペが似合いそうなミカゲさんの表情といい、申し訳ないが面白すぎた。そら衝撃の事実過ぎますわな。

ちはやふる・24話。太一のお母んとこでクィーンと名人の試合を見るご一統。軽めに描かれてるけど、やっぱしこれは実にめんどくさいお母んやなあ。ゆくゆくはこの視野狭窄ぶり、子供への支配気質が太一っちゃんのハンデになってったりすんだろうか。ま、それはそれとしてクィーンの試合ですが…ってえええ! すばらしく太ってらっしゃる! 鉄拳のボブさんみたいに何か思惑があっての増量かと思いきや、「景品目当てでアイス喰いすぎ」という天然過ぎる理由に割とクラっとなる。千早ちゃーん、残念美人ぶりでも負けてまっせ。まさか肉体改造して残念振りをアピールしてくるとはねえ。

んでまあ、そんなハンデを負った上でキッチリと勝ってしまうクィーンしのぶさんはやはり強い。のだが、さらにその上を行くのが名人の周防さんですよ、っちうね。その登場具合はバトルものでボスキャラが出てきた時みたいな凄みがあって、感心しつつちと笑ってしまった。強ェオーラだな!

周防名人は今んとこ、論外な強さを持ったボスキャラという側面しか出てきていない。一方のクィーンと挑戦者のユーミンさんにはそれぞれ人間性へのドラマが設定してあって見ごたえあり。クィーンの鋭さはかるたを相手に襲い掛かっているのではなく、かるたへの愛と接近を表しているものだっちう価値観のシフトは(ちょっと観念的ではあるが)面白い。ユーミンさんも「永遠の二位」として割としどころなく落ち込んでるとこへ、師匠たちとのコメディ交えたエピソードでもってちゃーんと心の落とし所を作ってあげている。先への希望を持たせたドラマ作りは上手いものだね。