ダンタリアン/うさぎドロップ/夏目友人帳

ダンタリアンの書架・5話。全三巻予定の著作のうち二巻までしか出さず、そのまま行方不明となった作家。その行方と理由を捜すディスワード卿とダリアンちゃんは、さるお屋敷に囚われ状態になっているらしきかの作家を見出すのだが…というお話。つまるところ有体に言って要するに早い話が「ミザリー」ですなあ。そういや高山みなみさんは、こういうちょっと狂気はらんだ役も得意なのであった。


「不思議な能力を持ったこの世ならざる本」が出てくるアニメなので、まあそのまんまミステリ展開では終わらない。作家さんとその浮気相手を共通の魂/命に縛りつける本が出てきて云々、っちうオカルトホラーなネタとなる。笑いながら二人の頭を拳銃で打ち抜き続けるミストレス、という絵は禍々しくてよろしかったね。ただ「あまりに殺されすぎて死への耐性ができました」っちうリクツはどーかなーとか思いましたけど。そこは別に進化圧的な説明せんでも、そのままオカルトちっくなギミックで良かったのではなかろうか。


事件は解決したものの小説の続編は(犯人と同じく)気に入らず、でも「じゃアチシ二次創作するわ」とKENZENな方向に暴走するダリアンちゃんはそれらしい。うん、まあ、アリっちゃアリよね。


今回のビックリドッキリブックは生命を操る本・「ラスアルハゲ」。はて、これって星の名前じゃなかったっけと検索したら案の定、へびつかい座の主星でした。そーそー、そういや「へびつかい座」ってアスクレピオスだっけね。その星の名前の本があるのかどうかは知らんけど。


うさぎドロップ・5話。娘の養育を放棄するほどの事情って何だろう。その疑問を持ち、大吉さんはリンちゃんの母・正子さんに会いに行く。売れっ子マンガ家である正子さんとはどんな人か。大吉の目から見て、それは「子供」であった。年齢的にではなく、精神的に、である。


正子さんのいかにも成熟していない、母親としてちょっとどーかなーというキャラをにじみださせる演出。正子さん面会イヴェントの前に:・リンちゃんを気遣う大吉・子供が好きでよく笑いかけるリンちゃん・もうすっかり馴染んでいる大吉両親とリンちゃん・家族連れであふれているファミレス内部、などなど「親子的な日常活動」を点描として見せ、んでもっていささか異物感のある編集者との打ち合わせ会話音声から面会イヴェント開始…というね。いざ会話となっても、パフェぱくぱく喰ってたり神経質に髪をいじったり、どこか自分とは関わりのなさそうな雰囲気を出している正子さん。とにかく落差の作り方が着実で上手い。


…ま、そんなことあってのち、養子縁組しようかしらと考えた大吉さんの考えもリンさんに一蹴されるんですけどね。大吉は大吉でいい、そうだ。してみるとリンさんにとっては大吉は親の「代わり」ではないのだろうな。そのまんま大吉という存在なのか。…うん、よう判らんけどね。


もとからほとんど作画的にブレのない作品なんだけど、今回はまた日常の動きがクォリティ高いなあ…と思って見てたら、正子さんの今の相方っぽい人が背中を預けつつ座るシーンにかなりドキッとした。何だあのリアルかつ自然な重心移動のタイミング。Cパートの大吉とリンさんのじゃれあいといい、大概であった。すげえ、劇場アニメみたいだ。…スタッフリスト見たら原画に沖浦啓之安藤雅司、井上鋭などなど。あー…そら…ねー、そうなるわねえ。心の底から得心したわ。


夏目友人帳 参・6話。近在の妖怪たちが襲われ、血を抜かれる事件が多発する。その裏に居るのはどうやら人間らしい。お節介な夏目さんは当然のように状況に介入してゆくのだが…というね。人と妖、その境界線に立つ夏目さんであるが、それゆえに時折面倒なことになったりもする、っちうテーマは前シーズンもやってたな。「境界上に立つ故に特殊な主人公」ってのは洋の東西を問わずアリネタですが、パッと思い出したのはブラックラグーンのロックさんですな。あの人も社会の裏と表、分水嶺上に立ち苦悩していた。さて、その曖昧さをウリとできれば強いのであろうが…ね。


お話としては割とマジなモード。多分この世界観のバックボーンを成すようなシリーズでしょうな。不気味な祓い屋の的場さんを筆頭に、前シーズンから出てきていた名取さんや七瀬女史など、マジモードのオールスターキャストといった趣の話。石田と諏訪部の対立構造に神谷と井上がカラんでくる…と言うとアレな方面な印象もあるが、まあそれはそれとして。個人的には七瀬おばはん役の土井美加さんの再登場が嬉しいね。ちうか七瀬さん、洋装も似合うのな。デキるおばはんっぽくてステキ。


あと序盤の「お前は関わっても関わらなくても浮かない顔だな。いつもニヤニヤしていたレイコとは大違いだ」っちう先生の言葉が面白かった。的確だし、また「大違い」なのに共通な二人というニュアンスもある。二人とも上記の「境界者」の典型だったもんね。