そらのおとしもの/空中ブランコ

そらのおとしもの・5話。禁忌を破ってしまった保志さんの後始末。あらすじを言うならば、家が壊れたので会長の所に厄介になったらヤクザ屋さんであってその入ってはならない風呂を使った咎により無人島で一ヶ月ほど暮らしてたら怪物に襲われたけどそれはイカロスさんであってそして全ては茶番でした、という話。見事にワケの判らない展開や、ディテイル付けたら付けたなりで意味もクソもない設定など、割とワシ好みの材料を使った話ではある…のだけれど。


これはまあ贅沢な無茶要望だと判った上での感想だが、せっかくここまでシッチャカメッチャカなシナリオなんだから、もうちょっと意図的に混沌とさせてもエエんと違うかな、と思ったりした。割と常識的な演出とぶっ飛んだ展開がちょっと喰い合わせ悪いとこがあって、「なんか説明不足な話だなあ」と場違いな考えが出てきたりして。うん、いやまあ、やはりこれは贅沢か。2話などのバカ話インパクトが強すぎた故の無いものねだりかもしれないな。充分にヘンテコな話だったしね。


…などというちともやっとした感情は、毎度恒例のエンディングボケによってほぼチャラとなりました。いやあ、今このご時勢にゆけゆけ川口浩、それもホンマモンの嘉門達夫を持ってくるとは大概なことであり一人笑ってしまったのでワシの負け。ED映像で「海底を彷徨ってたイカロスさんのサイレントアニメを見せる」という趣向もよし。何となくワンピの扉絵連載話を思い出したりした。


空中ブランコ・3話。売れっ子恋愛小説家の三木眞さんが吐いたり慌てたりする話。今までと同一設定のキャラを出してなかったかどうか常に気になって気になって気になって気になって気になってしかたがない彼は強迫神経症である。…折角パソで執筆してんだからいくらでもデータ管理できるだろとか、別に似たようなキャラ出してもどってことねッだろとか、そういうリクツは強迫観念の前には通用しない。ただ確認して安心して不安になって確認して、のループを描くのみ。さて彼の小説家生命やいかに。


どんどんと袋小路に入ってゆく執筆者というモチーフは、作家が自己を投影しやすいだろうしネタにも困らんだろうしってことでそこそこ偏在してるジャンルだんな。問題は今回もまた、通り一遍のテンプレからそれほど離れてくれないシナリオでしょうかね。もっといくらでも捻ったり偏執的に描いたり奈落と天上の落差をつけたり、など「この作品ならではのウリを作ろう」とするものだろうけどなあ。結局「本当に書きたいものは別にある」という初期条件がそのままオチになってるシンプルさである。…あるいはその単純さこそがこの作品のウリ、なのかもしれない。


ま、構造がシンプルだからこそ演技者による付加価値を乗っけやすい、ってとこは確かにあるなあ。今回主役の三木眞もさりながら、岩田光央のライター仲間とか塩屋浩三の大御所作家とかのノリは楽しくてよろしい。岩田さんのスポーツライターは再登場しそうやね。