バスカッシュ/大正野球娘/咲

バスカッシュ! 最終話。月と地球…アースダッシュか、双方の世界を救うために玉遊びする人たち。危機一髪なんとか成功と思わせてなんかダメ、諦めてたところを各々の意思でもって大復帰、そして世界は救われた…という流れは王道だけれど、んー…ちょっと間延びした感はあるな。画面に変化が少ないのがイカンかったか?


でも、ラストのキラキラしたエフェクトはなんか美しくて、空いっぱいの地球(あるいは月)っちう大掛かりな背景と相俟ってクライマックスっぽい盛り上がりはあったか。割と端正なエピローグをつけてくれたのも好印象ですが、しかしアレだ、あの陰謀メガネさんがあれっきり出てこなくなったのはちとかわいそうではないか? 打ちひしがれるなりそれでも不適に笑うなり、ワンカットでも入れてあげても良かったのに。エピローグでもいつまでたっても出てこないから、オーラスで一番おいしいとこ持ってくのか? とかちょっと期待しちゃったじゃないか。ファンでもなんでもないんだけどさワシ。


総評。うーん、どうも首尾一貫しない雰囲気の作品だったな。一風変わったメカや世界設定は目を引いたし、サムシングさんやSUEZENさんのちょいとキッズアニメっぽいキャラも割りと好きなほうだったけど、それによって描かれる物語の様相がねえ。初っ端らへんのちょっとヘンテコでガチャガチャしていて勢いはある、という雰囲気がだんだんと額にしわ寄せた鈍重なトーンに代わって行ったのは、良かったのかどうなのか。


監督交代がその原因なのか結果なのかよう知らんが、少なくとも視聴側はもうちょっとバカ娯楽寄りのテイストを期待してたのでは、と愚考したりする。デカい設定の作品にはありがちなこととはいえ、後半になったらもうバスケもバスカッシュもあんま関係ない世界になっちゃったし。「伝説」を題材としちゃったからそうなったのかな。別にゲーム的な伝説存在でもオモロかったとは思うのだけれど。


てことでまあワシとしては、着せてある服に中身があんまり合ってなかったような、そんな印象のアニメ。質も高いし手間もかかってそうなんだけど、ロボバスケと救世物語がどうも乖離してたというか。なんかこの世界観で、他愛もないゲームバトルの短編とか作ってほしい気がした。今急に。ダメですか。


大正野球娘。最終話。相手さんに投球時の癖を見抜かれピンチの皆さん。努力も根性もあとわずか足りず、彼女たちに…小梅さんに必要なのはみんなの応援でありました、というお話。うんまあ、過度に深刻に/細密にならず、このお嬢さんたちならこんな感じのドラマだろうな、というツボを押さえてある。ここでナックルを出してくるのは良い仕込みであったな。


何だかんだで「試合を通じて語り合う敵味方」という境地も垣間見える程度に野球マンガしてんのがよろしい。昨今の風潮からすればちょっと物足りないかな、ってくらいのアッサリサワヤカなシメ方も、この作品らしい「深刻にならない風味」が感じられて悪くなかったな。…しかしあの軽薄兄さんは、もうちょっとオチに絡ませてあげても良かったかねェ。折角のかき回し要因だったしねェ。


総評。大正時代に娘さんたちが野球するという、字面から期待されるアレコレをキッチリと満たして提示したのはエライなと思いました。ちょいと古くさくてちんまりとまとまっててのんびりしているという作品の方向性が、大正期のお嬢さん方というシチュエーションによく合致していて違和感が無い。


辻斬りならぬ辻打ちでの芝居がかったやりとりとその後のスラップスティック、あるいは映画女優になれると思ったら単なるスタンドインでガッカリ…とまあ、上記のセッティングならではの大らかなエピソード群が多くて楽しかったっすよ。個人的にはもうちょっと濃厚でも構わんかったそれらの大正まろん的描写ですが、まァ一般的なアニメ作品としては適正ではあるな。パイノパイノパイとか書生とかお昼のドンとか、ね。


あと選手たち各々の体さばきについて、初期のいかにも「お嬢さんの余技ですよう」って感じのナヨっちい状況から、着実にスポーツをする人間としての動作になっていく…というのは地味ながら質の高い作画仕事で好感持てましたですよ。


お話的にはここらへんでちんまりとシメといても良いかもしれんですが、やろうと思えば続編も作れないこともないかな。てことで、もし機会あるなら楽しみにしておこう。まさかに「日本の内には敵は無し! 次はアフリカだ!」とかそこまでのアレは求めてませんし、クッソ泥臭いスポコンにもならんでしょうけど。なったら困る。困るけど楽しそうだ。まあそのね。


咲-saki-・最終話。今までのライヴァルさんたち(除くしりあがり南場さん)を迎えて大合宿会である。全国大会に向けて願ってもない腕磨きの場が用意され、よォし当然ながらまず最初にやることは…やっぱおんせんだよなー! ってことで、まあ、そんなような話。とりあえずまあ、大量の湯気ジャミングをかいくぐってよこちち見せたのどっちさんは頑張った。えらい。


今まで出てきた大勢のキャラを、クロスオーバー風味も入れて色々と交流させてるのは普通に面白い。できたらもっと意外な組み合わせとかも見てみたい気もしたけどね。メガネ卓怖ーい。そんでもってラストは、主役二人のゆりんゆりんでイチャコラなシーンでシメ、である。最後まで軸がぶれないなあ。


総評。麻雀と萌えキャラ、という二大要素となれば古き良き(良き?)脱衣ゲーを勝手に思い出してしまうワタシであるが、実際のところははるかに競技/バトル寄りの内容となっている作品。もっともここで言うところの麻雀ってェのは現実世界のソレとは少々違い、理由なしでリンシャン連発する主人公だったり対抗キャラはハイテイ連発だったり、とまあそういう競技だ。相撲に対するSUMOU、みたいな感じ? まァね、別に改めてここで言わんでも、そもそもマンガに出てくる麻雀ってそういうの非常に多いしね。


ルールや役名などを現実の麻雀から借り受け、そしてその枠組内においていかに意外な、燃える、熱い勝負を描写するか…ということに神経と労力が注ぎ込まれている。つまり、かなり真っ当なバトルマンガとしての構造を持った作品ではあるのだな。


そしてそれに付随するのが、非常にスキの無い萌えキャラデザインとベッタベタな演出、というワケだ。特にアニメ化に際して大々的に付与されたであろう後者の要素、主役二人が顔を見合わせれば「きゃらりらりーん」という効果音が入り、人外的な麻雀能力を使えばゴゴゴゴとオーラが噴出するという定番さ。この陳腐さというか判りやすさというインフラ整備の戦略は良いと思った。声優のキャスティングがガチガチなのもそんな雰囲気やんな。


強烈な作家性というよりはディスカッションの末の「製品」っぽい作品であり、その目的とするところは充分に達成できていたのと違うかな。…趣味志向の方向性が少々異なるワタシでも、割と楽しんで見られたからねえ。よく出来てたと思いますよ。


余談ながら上記の「現実の麻雀とは違う」ってことに関連して、麻雀が全国規模になっている世界ですよ、という設定の提示はかなり上手いエクスキューズだと思う。この一文でパラレルワールドっぽい世界観が付与されて、実際のゲームでは云々っちう苦情をやんわり回避できるしねえ。あとまあ、隣の会場で行なわれてたという男子大会をスピンオフで描くってのはどうか。いろんなイケメン取り揃えてさ。どうか。