シャングリラ/マグニチュード/まにまに

シャングリ・ラ・最終話。己が目的に邁進する五十嵐姐さんは、外部の人々と内部のクニコさんの両面挟撃によってその身を滅するに至る。メデューサによる全世界殲滅や真のラスボスであるヒミコご本人も何とか退け、険しくはあるものの人類には未来への道が残された…という。いやあ、前座ボスキャラとしての五十嵐姐さんは古典的とも言える悪役ぶりで、そこは良かったなあ。壮大な野望を次々潰され、目的は世界征服→新たな体の獲得→ええい主役の小娘の命だけでも…と、どんどん器が小さくなってくとかね。散り際に一言だけ主役にイヤミ言うてからミイラ化、とかもう様式美の世界であろう。


地母神としての存在やら子供いっぱいの幽霊オカマやら天子様を得たメガネさんやらメデューサの再育成を誓うカリンさんやら、今回の骨子の一つとして「母の物語」ってのがあるんだろうな。死と再生のうちの再生の部分、まァお話としてはそっちの方がシメやすくはある。…なのに結局ヴィジュアルとしては出てこなかった「劇中ほぼ唯一のまともな母」たる草薙母さんがかわいそうっちゃかわいそうやなあ。


総評。一話二話見た辺りでは、目先も新しくオモシロヴィジュアルも多くて楽しげだったんだけど、終わってみればどうもチグハグな印象が先に立つなあ。作画の質のムラもそうだけど、アニメ作品への落とし込み方とかシリーズ構成とか、そうねえ…これは後付けのヘッポコ感想だってのは重々承知で言うならば、「安易なキャッチーさ」の希薄さが致命的だったかなあ。別に萌え萌えだけじゃなくて、あるいは緻密な構成だったりあるいは熱血展開だったりあるいは統一された雰囲気だったり、そこら辺の「ウリ」がイマイチで、結局「変化球だけど平凡」という辺りに落ち着いちゃった、という印象が個人的には、ある。


…そういう成分は「咲」の方に取られちゃいましたか? GONZOさん。


てことで、志は買うけれど、うーん…って感じでしょうか。原作小説ならテメエの脳内演出でいくらでも面白くなりそうな素材だっただけに、ちと残念かも。あそうそう、炭素経済とかあの辺りのギミックはまあエエのではないかと思いましたよ? こんなもん、アニメとしてもっともっとエンタテイメントに見せるってのは多分無茶や無理の世界だわな。雰囲気を演出できただけでもヨシってとこだ。


東京マグニチュード8.0・10話。ユウキくんにはお姉ちゃんに言うべきことがある。それはミライ姉ちゃんも、実際判っていることである。しかし判っているが、判るわけにはいかない。判っているが、判るわけにはいかんのだ! という話。ちと引っ張りすぎかなあとは思うけれど、実際のところこれくらいの緩衝期間が無いと心折れちゃうのだろうなあ、とも思う。そのままずっと幻想を持ち続けちゃうと…アカン方向に行っちゃうんだろうなあ。今回のように、大きなショック等何らかの「キッカケ」によって緩解に向かうことになる、ってのが普通なのかもしれない。


ま、ホンマはこれからが本番、弟の死に直面してからなのでしょうけれどね。ミライおねえちゃん一人で乗り越えるのは酷なところもあるだろうしな。


ユウキくんの死を受け入れるまでに彼の航跡をトレースするように歩き回る、というモチーフはなんだか「夢」の構造のようだ。本人が認めづらいことを無意識が変形して投影する、あるいはその周囲を低回して見せるような。…でも実際、ミライさんに付き合ったイツキくんはさぞかし怖かったやろなあ。お姉ちゃんちょっと壊れてる、っちうね。あとイツキくん親子、両方とも沢城さんが声やってんのは流石の演技派役者であったなあ。


宙のまにまに・11話。こないだ夏合宿やったと思ったらもう冬合宿である。月刊誌をアニメ化すると展開速いねェ…ゼエタクというかなんと言うか。てことで、冬山話となれば遭難ですよ? ついでに二重遭難ですよ? という話。個人的にこういう「危険をはらむ場所での事故」をお話のダシにするのは少し抵抗があるのだが(とらドラでも違和感があった)、そうねえ、こっちの方はまだ「天文活動の冬合宿における注意事例」みたいな要素があったのでまだ、ね。事前に冬山のノウハウとかもやってたし…山猫座…とか…萌え…。


西も東も判らない吹雪の中ビバークっぽいことをする美星さんとヒメさん。隔絶した極限状況の中、ヒメさんは自分をちゃんとライバルとして見てほしい、と訴えるのである。「こんなこと言う状況じゃないのは判っているけれど」、だ。しかしこういう場合じゃないと言えない、ってのも心理ではあるよねえ。結局年増先輩はキレイに誤解しちゃいましたけどね! まァ想定の範囲内だわな!


今回は冒頭から仕草や演技などをチョコマカと付けていて、いちいち「動かそう」っちう意図が見えて面白かったな。超絶テクニックってワケじゃないが、なんか楽しそうな雰囲気がありましたよ。…しかし何だ、望遠鏡とフラッシュ使って空中に光の矢…ってホンマにできるのかなあ。この辺すでに誰か検証してそうだけど。って、次回最終回か!