咲/マジンガー/化物語/ザムド/ハガレン

咲-saki-・14話。お嬢様は焦るの巻。もっともっと目立つんじゃーい! と普段のデータ麻雀をかなぐり捨ててスタンドプレイに走る。それは確かにまずい戦術かもしれないが、この状況に変化をもたらすことには違いない。そして「結果オーライ」の一発逆転、なるほどこれからお嬢様の人間くさい不安定さと小清水さんの正確さのバトルかな…と思ってたら、横合いから謎の人があぶらげかっさらっていきました、という話。


登場時より慎重に描写を避けられてきた切り札の人。そのスタンド能力は「存在感うっす!」である。石ころぼうし常時着用状態の彼女は、ちゃんとリーチ発声してんのに無視される程の影の薄さ。よって上がり放題張り放題である…って、これまた極端なステルス属性やなあ! こういうムチャな能力設定は「マンガ設定」としてかなり好きな方だ。…ま、あんなけかいらしのにみんな気付かぬなんてありえない! とかは言わない約束で。


にしても、小林ゆう部長との馴れ初め話で皆さん頬を染め染めであって、何かもう百合にあらずんば人間関係にあらず、みたいな世界ですなあ。こことは別会場で野郎だらけの麻雀大会とかも行われてたりするんだろうか。あと、ステルス桃子さんのドラマが華々しく解題されたことにより、あのポッチャリお嬢さんが(物語上は)すっかりステルス状況になってしまってんのが皮肉というか「ま、残念じゃったね」というか。


真マジンガー 衝撃!Z編・15話。シローとローレライ、その終幕。人ならざるローレライは父親を中心とした避けられぬ運命を持つ。心を獲たフランケンシュタイン娘とそれに惚れるべくして惚れた者…っちうモチーフは、なかなかに永井さんらしいなと思ったりした。異形と化したローレライが負けゆく様をかなり無慈悲に描写するのもそうやねえ。もぎり取ったロボットの頭部でローレライの顔面をスマッシュヒット、だもんなあ。その瞬間、マジンガーデビルマン化するのもね。


一途なキグルイの家弓博士の死、なすすべもなくオロオロするシロー。それらを前にただ腕組んで見てるだけ、そして諦観の笑いとともに去ってゆく一城の女将が何ちうか、テメエの業の深さを充分に弁えてる風情でおっそろしいことだ。あと、悲劇的な結末のシーンになった途端雨が上がり、一種夢の世界っぽいバカ鮮やかな風景になるってのも皮肉でよろしい。こういう悪趣味な端整さは最近の作品にはあんま無いねェ。


化物語・2話。チワお嬢さんの重さを取ってった蟹は、彼女の「重い思い」を斬り去っていく。半分催眠、半分言霊な神下ろしの儀式質問にて「言いたくありません」を連発する彼女が、その言葉さえも使えない記憶。それは彼女にとって重いものであり、唾棄すべきものであり、故にかけがえのないものである。その「重さ」を取り戻した彼女は…って、うわあ絵に描いて額に入れたようにデレた! うーん、こういう剛速球でシメるのか! ちと意外ではあったなあ。


あいッ変わらず狭い々々舞台で戯曲のような台詞回し、素材用意するだけでめんどくさい画面演出の嵐、嵐でありますな。一方でまた過剰に立って立ちまくってる台詞/脚本でして、よく調和している…と言うよりはお互い引かず負けていない、と言うべきか。ガチッと固まった流れであり、だからこそあの解決のカタルシスの「抜き感情」が際立つのだろう、か。…個人的にはもうちょっとユルいのが趣味だけどね。


しかし絵がエエよな。ガシャガシャっとした直線的な手で描くシャープな、でも肉感的な絵が上手いやね。あと、チワさんの挑発にも言語暴力にもいちいちつきあってあげてるアホ毛神谷さんが律儀である。最近の青年主人公のテンプレではあるなあ。


亡念のザムド・15話。流浪のナキアミさんはまたもザムド坊主を拾うのでした、っちう話。旅先で出会う戯画的じゃないが普通にあからさまな迫害の雰囲気が妙にリアルで、何かもうギッスギスしてますなあ。ザムド化によってすさみつつある少年を救うために唯一無二のカヤックを売っ払うナキアミさんはやはりエキセントリックである。この思い切りのよさっちうか、ある種の苛烈さが無いと生きてけなかった、んでしょうかね。


主に上記のナキアミさん話の回なんだけど、状況が多舞台化してんので視点も多くなっている。まずハルさんは結構なピンチ。安易な救いのパターンを提示しない作品だけに、根谷姐さんの険呑な予告台詞は地味ィに精神にキますなあ。女になっちゃうのか。痛くなっちゃうのか。いやそれって懲罰なのか? そしてアキユキだった者は…未だ何の救いもあらず。ただ人買いに売られてゆくのみである。…これ、どうにかなるのか?


しかし化物語のガチガチに構築した演劇成分のあとの、この…まあ、「別の」自然さをばんばん出そうとしているザムドの連荘は何やら不思議な気分にはなるなあ。ベクトルが逆向きだもんね。


鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST・15話。新章突入、宮野さんが出てきたよの巻。錬丹術もてやってきたシンの国の人たちである。そうでした、この作者さんって武侠好きでしたっけ。以前アニメでやってたのは結局スルーしちゃったけどね。てことで第十何番目かの王子様とその従者、それとパンダお嬢さんの登場である。求むるは同じく不老不死にして賢者の石、宮野王子は「政治の道具として必要だ」と言うが…さて、それだけの理由でもありますまい。生き長らえさせたいのは、誰だ?


今までの話が少々先走り気味だったのはさっさとこのアークに入りたかったから、ってのもあるのかいな。それかあらぬかせせこましい感覚も少なく、新たなキャラと舞台の予感を感じさせる導入としては悪くなかったんと違うかな。…てか、この世界の国々ってどうなってんだろ。


とまあ、本格中国モノになるかと思えば舞台はセントラルへ、か。さてこの要素が本筋にどう絡んでくるか、だけどね。じっくり目のテンポだとええけどな。