懐古厨の詩、あるいは歌の懐古厨

●旧いゲームのBGMが好きだ。そらもう特別にごっつ好きだ。まァその原因は「テメエの若い頃に遭遇したジャンルだから」ってのが大部分ではあるが、やっぱレイメイズ、もとい黎明期のゲーム音楽の特殊性ってのも大いにある、と思う。つまりその限定性ね。


ビープ音だったり矩形波だったりFM音源だったりSCCだったりPCMだったり、あるいは同時に3音までだったり、そういう限定性は初期のゲーム音楽に図らずもある種の「特性」を与えていたワケだ。ちょいと聞けば「あ、これはあの頃のゲーム音楽だな」と判るほどのオリジナル性。それは望んで獲得した要素じゃなくて「しょっがねーのでそうなっちゃっただけ」ではあるのだが、しかし他の音楽ジャンルとは一線を画する大きな要素だったのは事実ですよな。…前も言ったけど、限定されたジャンルには工夫と独創の花が咲く、てなもんだ。


今の広大なリソースを持つゲームプラットフォーム上ではそういう限定性はかなり少ない。オケだろうがケチャだろうがグレゴリオ聖歌だろうが、生音をそのまま使うことも普通に行なわれている。となると…その代償として、わっかりやすい「ゲーム音楽」っちうラベルは見当たりにくくなってるよな。チラっと聞いて「あ、これはゲーム音楽だな」と判るような俗っぽさが薄まっている。当然ながらそれはちっとも悲しむべきこっちゃなくて、多様な表現世界を歓迎すべきなのだけれど、反対に「だから過去のショボゲー音は不完全な代物だ」っちうことにもならない。


…上記の「ゲーム音楽要素」を好む素質があったり、あるいは何度も聞いてるうちに馴染んできたりした人たちには(ワシだ)、脳内にそれを経験すると快感が発生する回路が出来上がっちゃってんのだろう。それは他のジャンルの音楽に対する嗜好となんら変わりない。「ああエエなあこの矩形波のキレ」ってのは、「やっぱ太棹の荒々しい響きは心揺さぶるねえ」ってのと同じよーなもんだ。…昨今のゲーム音楽には薄れてきたこの要素、それがワタシをして旧ゲーの音楽を捨てがたく思う原因の一つ、なんだろうなあ。


●昔のテレビドラマはフィルム撮りであり解像度やコマ数に独特の雰囲気がある。最近はどれもビデオだからシャープで解像度の高い画像を茶の間にお届けできるんだけど、特に時代劇とかね、あの辺のジャンルにビデオ画質はどうも違和感があったり。一時期、ビデオなのにコマ数をちょっと落としてフィルム的雰囲気を出す処理をしてたりしたが、やっぱそういう風合いを求めていた人が多かったのだろうな。…てなことを思い出したりね。ちょっと違うけど。


●…てことで、グラディウスシリーズのベストBGMはグラディウス2(II違うよ。MSX版の2だよ)。異論は認める。