赤い灯ー青い灯ーィ

●くさぐさ存在する我が弱点群であるが、その一つに「夜中の電車から見える家庭の明かり」ってのがある。特に団地やマンションなどの集合住宅の明かりはたまらない。そして部屋の中の暖簾やら本棚やらカレンダーやらがチラとでも見えたりしたらもうクリティカルヒットである。


つまりその、ああいう光景ってものっそい色褪せて見えるじゃないですか。今そこに在るのに既に記憶になっちゃってるような距離感というか小ぢんまり加減というか。でもそこには多分、ワタシのなんぞよりはるかにドラマチックな各々の人生が今まさに展開され、蓄積され、表出されているのだ。団地ともなればそういう豊潤な日常世界が光の数だけ集積しているのだ。


…そんな重い重い存在群なのにあんなちまちまと小さな、吹けば飛ぶようにしか見えない光たち。十数年前の再放送ドラマのように生々しさを失って見える生活の光たち。過剰な重さと情感の喪失という両極端な印象が、ああ、ワタシをワタシを今圧倒すーるのだー。


それにしても、遠くから見る蛍光灯の光ってなんであそこまで昼色光と白色光がハッキリするんだろうねえ。ほとんど青や赤に近い。それがまた余計に現実的な手触りを感じさせない要因になってるような気がする。…団地の廊下に点々と点いてる常夜灯なんてのもたまらんねえ。一つ二つジジジジ言いながら点滅してたら泣いちゃうかもしれんわ、ワシ。泣かんけど別に。