ラインバレル/狂乱家族日記

●新番組・鉄のラインバレル。よう知らんがこないだチャンピョンに読み切りが乗ってて、でもよう判らなんだのでしたが、…ああ、これまた平井久司なのか。なんかこの人、巨大ロボやSFしかやってないのではないか。たまには純情恋愛アニメとか…ムリっすか。どうですか。


てことで本編は、いじめられっ子さんがロボを得て鼻持ちならない人になるまでの第1話。いやまあ、確かにボーイミーツロボものの主人公のテンプレとしてナヨキャラはあるけれど、ここまでヤな人になるのはちょっと珍しげ。ま、ロボ搭乗前の段階で既に中二的なデムパ発言野郎ではあるのですがね。予告で既に最低呼ばわりされてんのが妙に受けたりした。


ロボとの出会い方もかなりテンプレで、これは一種のオチモノに近いなあと思ってたら同時に本家的な落ちモノもやってくれてて割と笑う。気づいたらロボと能登声の裸お姉さんが手に入っていた! という。(どうもそのうち敵になりそうな)イケメン友人が、絵に書いて額に入れたような「ここは俺に任せて先に行け!」をやってくれてたり、テンプレに対して何か思い入れでもあるのでしょうかね、って感じではある。…その状況を腕一本でぶっ壊す展開はかなり面白かったですよ。すげえな、このバカチン。


見得きりシーンなどでのBGMが、いい意味でこれまた定番にして大衆的。このベタ加減でも雰囲気向上にかなり貢献してるような気がする。


あと10年で巨大ロボ世界だとか、衛星兵器は万能だとか、ほぼ質量兵器に近い落下物であの程度の被害かよとか、ロボアニメとしてはともかくSFとしてはあまり期待しないことにしよう。ロボ戦闘のCGは、周囲の破壊状況でその強烈さを伝えるヤリクチとかが上手くてかなり見入りましたよ。これは期待してもよさそうだな。てことで…んー、このまま過度に辛気臭くならなければ継続してみる。なるかな? なるだろうなあ。


…あ、でも、あの大量の出血に本人も周囲もノーリアクションなのは流石に上手くないなあと思った。そこは軽く一言でも言及しとこうよ。意図は判るが不自然じゃよ。


狂乱家族日記・最終話。家族の誰が破滅の源なのかという問題はとりあえず棚に上げ、強欲王とクラゲ姐さんはその愛情を確認して数千年の先に出会うことを約するのであった、という。割とシッカリ区切りをつけ、かつ今後も続くであろうネタを仕込んでおいてシメとする。んー、そういう意味においては案外とアニメ最終話らしい最終話だったな。…結局オアシスさんの役割が微妙だったのはちと残念ではあるがね。この構成だったらオアシスさん無くても成立しそうだもんなあ。今後の役割とかがあるのでしょうけど、ね。


総評。…むーゥ、微妙だなあ。「狂乱」という修飾語がこの作品の大きな肝ではあるのだろうけれど、それは原作たる文字媒体作品においてであって、うまいことアニメ作品としての「狂乱」になってたかってェとちと言葉を濁しがちになっちゃうんだよな。制作側がその点に関して創意工夫粉骨砕身したことは疑わないが、やはりイマイチはじけ切れない憾みは残ったような。…全26話のうちの何話かはそのラインを超えてたのだけれどねえ。


個人的には時々出てくる「重そうに見えるエピソード」が足かせになってたように思った。狂乱を演出するために物語上の諸要素に重要度の差をつけずに突っ走るという戦術が、思わしげな雰囲気にどうもそぐわなかったように思えたんですよな。水と油というか何というか。


…しかし、でも、B級的な軽いノリの作品として過不足はなかったは思う。個性的でワケの判らんキャラたちとその演技は十二分に楽しめたし、先の読めないバカ展開がガッチリはまった時の爆発力は愛らしかったですよ。んで、次期があるなら…んー、どうしようかなあ。よう判らんですが、まあがんばれ。