夢の話は誰も聞かない

●昼間かなりパンチの効いたおヤクザさんを見たからか、そんな感じの夢を見る。


●自分はヤクザ組織の下っ端構成員であり、軽四の後部座席に座ってごたごた仕事の手伝いに行くのである。車内には四人、自分含めた後部座席と助手席の三人は下っ端、運転は中堅の構成員。白背広・赤開襟シャツ・口髭・薄く色のついたグラサン、と絵に描いたようなコワモテさんである。


自分はこういった荒事は以前に経験済みであり、その時は怖いとも思わなかった。しかし何故か今回は怖い、命が惜しい、行きたくないと思っている。そうこうしているうちに目的地に着く。木工所のような、さまざまな機器の並ぶ敷地である。車はその機械の一つにぶつかるようにして停車する。総員降車、そこの工員が三四人集まっているところへ向かう。


白背広が彼らとなにやら話す。向こうは向こうで取込中のようだ。一人が角鑿盤(木材に四角い穴をあける電動工具)の下に手を押さえつけられ、手の甲に四角い鉄柱を下ろされている。指詰めのような、何らかの制裁であろうか。工具の音も悲鳴も聞こえない。自分はもうとっくに心萎え、どう逃げたらよいだろうかとばかり考えている。


そこへ、目的地に着いてから見えなくなっていた下っ端ヤクザの一人、岡村隆史によく似た男が走りこんでくる。手に妙な格好をした指輪を持って「ああよかった、やっと見つけた。どこでなくしたかと思たけど、やっと見つけた。これ、ボクの結婚指輪ですねん。これ無くなったとヨメに知れたらえらいことやった。ああああ」と泣いている。その場にあった少々緊張した雰囲気は一気に和む。