虚実皮膜は銀幕に

●たまにテレビに近所の風景が映ることがある。多くはローカルニュースの映像だけど、たまァのたまァにそれ以外のケースもあったりして、そうなるとかなりワクワクっときますね。深夜のローカルバラエティとか日曜昼間の旅特番とか。さらなる「たま」だと、ドラマや映画の舞台になったりね。


いっぺんだけ、さるマンガの舞台のモデルが近所の駅だったことがある。当然駅名地名は変更されてたけど、ご当地の人にとっては「あああの絵はあそこだ」「おおこの町並みはそこだ」てな感じで丸判りであった。しっかしなんでまたウチんとこが、とは思ったのだよね。別に何の変哲も無いヘボ駅だすよ? 未だに謎気味ではある。


●映画等のミスやヘボを指摘する記事において、「この時間内であの場所からこの場所へは行けない」とか「あの場所からこの場所は見えるはずがない」とか、現実の舞台との差異を指摘するパターンがありますよね。ワシ、あの手の指摘にはどうも賛同しにくいんだよな。


物語を作る上で適当な風景が必要だったから切り取って使ったってことでがしょ? 映画という虚構物語の中に組み込まれた段階で、現実世界と照らし合わせてヤイヤイ言うってのはもう、ヤボですらなく単なる「現実と虚構の区別がついてない人」だと思うんだけどさ。たとえそれが現実の地名等をそのまま使っているとしても、だ。それとも何か、マンガも映画も登場風景は全て無から作り出すべし、現実風景を使うなら嘘描写は一切まかりならん、ってことなのかしらん。


●…なんぞと言いつつ、近所の商店街が映画に出たときには「…ああッ、その店はそんなに小奇麗じゃないのに! そんな看板娘なんか存在しないのに!」などと言ってたワシらではありますがね。へへん、まァ小せいことは気にすんなホレもっと酒呑め酒。