妖奇士

天保異聞 妖奇士最終話。幕府転覆を狙う後南朝のレンジャイたちは、新たに生まれる徳川のお世継ぎに妖異を憑依せしめんとするのであった。なんか魔界転生みたいな話やな。しかしその企ては江戸元さんのダブルスパイ行為によって阻止されて、異界のアトルもユキさんによってこの世へと導かれる。…確かにアトルさんがこの作品のヒロインではあるんだが、ユキさんとあんなにラブ語りするシーンが出てくるとは思わんかったなあ。ユキさんもロリ趣味やねえ。


うーむ、案外悪くない着地演技だったのではないかな。この最終話に限ってみれば、通俗的な盛り上がりやカッチョ良い大立回りがあって普通に楽しかったし、「俺達はまだ戦いつづけるぜ!」*1てなエピローグも王道であったし。若本さんまで動員してのアヤガミ大進撃はちょっと笑っちゃったとこではありまして、小笠原さんのぶん殴りアヤガミにはかなりやられました。何じゃあのイカス姿。あと顔だけ出したきぐるみ妖異。


総評。打ち切り決定すると面白くなる、の法則が適用されるパターンだったような気はする。とにかくラスト近く、やたらに早くて心急きな展開は見てて辛くもあったが、その通俗的な快感主義は悪くなかったです。無論、スタッフ側が本来望んでいたこととは別だということは理解してますがね。


中盤辺りの妙な居心地の悪さ、それこそがスタッフの表出したいことだったのだろうと思う。ただ、その生な感情はあまりこの枠構造に合っていなかった。変化球だけのピッチングはあきまへん。ストレートという基準点がまずないと、ワタシら衆生は戸惑ってしまうだけなのであります。


まあ、そういう妙な所もこの作品の味ではあったのだけれどね。特に、怪獣をやっつける第一の目的が「旨いから」という歪んだ設定は好きだったのでして、そこが薄くなっちゃったのは個人的には惜しかったかも。最後の「人は、物語なしには生きていけない」というシメは(自己言及的に)良い感じだったと思うし。なんかシルバーガンの台詞群を思い出しましたよ。ええ。

*1:「幕間」ってサブタイはこういう意味でもあるのかな