妖奇士

天保異聞 妖奇士15話。夜の蝶は、己が身を焦がすまでに陽を求める。その姿はさながらイカロスの如く。ラスト、身を崩しつつ夕陽の中に消えていった元遊女のシーンはなかなかにセンチメンタルな瞬間だった。これを生物学的に申さば「正の走光性がある」となむ申す。雰囲気台無し。


てことでちょうちょ変化エピソードのシメである。結局ウヤムヤのままに終わってしまうのはパターンの一つだが、こと吉原という「異界」の律を表現するという意味ではエエ結末かも知れん。またぞろ蝶の彫物を見つけてしまう、という終わり方もね。劇中の言葉じゃないが、一種の流行り病、だったのだろうな。


…ただやっぱ、どうも話の流れがまどろっこしいというか何というか、コッチのノリに付き合ってくれない所はあるんですがね。後の展開の仕込みとは言え、下手人を捕らえようとする火盗改に向かって「いや、何故か消えちゃう蝶の彫物を探す方が正しいヨ」とか浮世離れした説得するとか。それで納得したら却って怖いよ。


毎度ながら均質に上等な画面だったけど、巨大ちょうちょ妖異のCGはちょっとぎこちなかった。ま、あの体構造は巨大化に向かねえよってことですかな。