NARUTOの映画

●劇場版NARUTO 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!! を見る。例によってナルト本編はちょぼっとしか見たことなくて、最低限の知識しかないワタシなんだけど、あんまし関係無かったっすね。これ単品で充分成立してた。そして充分楽しかった。


大映画女優でもある雪の国の姫君。カノジョのボディガードたるナルトたちと映画クルーのご一席である。後半はほぼカリ城展開、姫の持ってるお宝の手がかりアクセサリを悪い大公(違う)が奪うのだ。そんでそのお宝とは当然、俺のポケットには大きすぎるのだ。そして姫がニンジャさんのことを信じてくれるなら(マジでそんな台詞がある)、空を飛ぶことだって湖の水を吹っ飛ばすことだってできるのだ。という、ね。


「後の喧嘩を先にする」のデンでまずイチャモンから付けときますとですね、これ異様にツッコミ所の多い映画なんですよ。ワケアリ落ち延び姫様が「身を隠すため」に選んだ仕事が大映画スターだとか、首領と側近の計四人がヤられたら転覆しちゃう国家勢力とか、常冬の気候を改善する為のマクガフィンを娘に預けたまんまそれっきりで、それが何なのか説明一つしといてくれない国家元首とか。そういうアラは掃いて捨てるほどありますよ、ってことですわ。そうさな、マクガフィンの扱いで思い出したけど、それこそOVAジャイアントロボのザル加減にも近いかもしれない。


でもま、それはほとんどキズにはなってないんだよね。ド定番のシナリオでドハデにやる、その勢いと思い切りが良い。少年マンガらしい過剰さが話のシリアスさにちょいと釣り合ってない所は無いでもないが、話の筋がごん太いもんで「ま、いっか」と思えてしまう。娯楽作品として大事な要素だと思いますよ。…ああっとでも、味方数十人が鏖殺されちゃった後で、妙に余裕のある攻撃を仕掛けだした忍者たちには「もちょっと早う助けたれよ」とは思いましたけどね。しかしあのシーンでもカメラ回してた監督さんだが、てことはホンマモンの殺戮シーン入りの映画撮っちゃったってことだよね? 地獄変やなあ。


この監督さんがエエキャラでねえ。名前がマキノ監督、声が大塚周夫、顔はほぼ榊清太郎だ。すげえな。周りがどんな修羅場であっても絶大な威厳と行動力で監督しつづける映画屋の鑑。ナルトのピンチには撮影用のトロッコ(なんてんですかね、あれ)で駆けつけてきて「…乗れィ!」。か、かっこ良すぎるぜおやっさん


「もしこれが無かったら絶対ツッコんだるからな」とワクテカしてたまさにその一言。映画のラスト、「終」の字とともに大塚周夫の大音声で「…はいカットォ!」。もうこれがあったことだけで花丸あげたいですな。思えばこの一言があるってことで、上記の「整合性なんかどうでもいい」ということが補強されているのかもしれない。今まで見ていたこのNARUTO、これもマキノ監督の映画だった…ってこっちゃねんね。バカだなァホレ、劇中あんな勢い小僧だったマキノ監督がチマチマした映画撮るとでもお思いか? どうです?


絵についてはほぼ文句は無い。大層な作画アニメではあるんだが、その技量が物語展開の邪魔になってるような所も無く(いや、ワタシはあってもいいんですけどね)、見ていて単純にワクワクできました。面倒な忍術・爆発エフェクトもてんこもりなスペクタクルが心地よい。アクションでは盛大にイガむラスボスの顔も実に楽しい。んで、脇キャラがとっても素敵な西尾鉄也顔なのも嬉しい。ええ、これ重要。