日記的夕刻

●自転車で買い物の帰り道。お空にはいわゆる「鎌を研いだような月」がぶる下がっておった。このくらいの月だと、太陽光を反射していない暗部も地球照によってボンヤリと見えますねんな。アレを見ると、月ってェのも「地球近傍にある超巨大にして球形な岩塊」って感じに見える。なかなかのSOW。


…どうでもいいが、正式名称は地球照だとはいえ、やっぱし「地球光」と呼びたいよねェ。おっさんSFファン(あるいはターンエーファン)としてはさ。


●さらに帰り道。車の音に混じって、後ろから「たったったった」という足音が聞こえてくる。が、これが、速いのだ。こっちだって自転車で大概な速度を出しているのだぞ? そこへあっという間に接近してくる足音。とにかく、普通の人間に出せる速度ではないのだ。こ、怖い。


振り返ろうかどうしようか躊躇してる間にもうはや横に並んできた。ああ、一体どんな異形ランナーが…と横を見ると、人なんて影も形もおまへん。


要するに自動車のタイヤにテープか何かがくっついてて、一回転ごとに路面を叩いてたって、それだけなのね。何の具合が良かったのか知らんが、これが確かに「たったったった」という走る足音に聞こえてるのよ。幽霊の正体見たりカレドニア。ああ良かった怖かった。


最近の都市伝説で良くある「俊足ババア」とかいうのも、こんな仕掛けなのではないだろうか、とうなずきあうのだった。誰と? 誰と?