舟を編む

●新番組・舟を編む。詳細は知らず、辞書編纂の話で映画にもなった著名作が原作…ですな。辞書に情熱を持つおっさんと部下のチャラい兄ちゃん、そしてちょいと自己完結気味で対人能力が苦手っぽいメガネ兄ちゃんがメインキャスト、ってとこでしょうか。彼らが新たな辞書を作るため、その歩みを一にするとこまでで第1話。タイトルの「舟」とは茫洋たる言葉の海を渡るための案内人のこと。…なるほど、海ねえ。それは溺れもすれば流されもしようなあ。

登場人物のしぐさやネコの動きなど、そこらの映画レベルにやたら丁寧な作画とじれったいテンポが印象的。言葉をその主とする話で情報量も多いし、このくらいゆったりした方がいいっちゃいいわな。途中の海に溺れる夢のシーンでかなり崩した作画アニメになってんのも面白い。…「右」の定義を聞かれて「北に向かって東の方」ってのは実際辞書の定番なんでしたっけね。まあ弱い相互作用パリティ対称性の破れを使うわけにもいかんだろうしなあ。

キャスティングはものすごく演技指向で、手堅い感じ。主役二人の櫻井と神谷もいいけど(そういや岸部露伴コンビやな)、主任さんの金尾哲夫が実に「ガンコで一本気な定年間際のおっさん」な雰囲気出ててよろしい。そして榊原良子のヴェテラン事務員さんがこれまた…いや、声いいなこのオバハン! 最近の榊原さんとしては割と珍しいフツーな役かもしれない。

あと何だね、辞書編纂部が本社から離れた別棟にあるってのはなんかいいね。社内でも古臭くて隔絶されてる生々しい感じというか、ここだけ昭和っぽい感じというか。

てことで、えー。言葉についての「マジメ」な話、となると見逃せないし、少なくとも第1話はかなり好印象だったし、これは継続してみよう。面白そうであります。